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- 第 91 話 -  『一粒の飴玉』 

こんにちわ、編集長の志賀内です。

入梅の季節がやってきました。
毎日のように気象予報とにらめっこしながら外出します。
傘を持っていくかどうか悩みます。

たとえ折りたたみの傘でも、荷物は少ない方がよいので、
玄関で空を見上げながら考えます。

マーフィーの法則ではありませんが、
持って行かなかったときにかぎって雨が降るようです。

タクシーに乗ったときのことです。

 「ああ、とうとう降り出しましたね」

と運転手さんに言ったら、

 「傘をお貸ししましょうか」

と言われました。
聞けば、1、2本のビニール傘を
常備しているのだといいます。

 「今度、うちの会社の車に乗ったとき、
      返していただければいいです」

とおっしゃいました。
幸いそのときは、折りたたみの傘をかばんに入れていたので、
借りずに済みましたが、
ちょっと心憎いサービスです。



さて、つい先日のことです。
風邪をひいて咳が長引いて困っていました。

そんな折、タクシーの中で携帯電話で仕事の話をしていたら、
急に咳き込んでしまったのです。
よほど苦しそうに見えたのでしょうか。
運転手さんに、

 「大丈夫ですか」

と声をかけられましたが、
答えようにも咳が苦しくて返事もできません。

すると、運転手さんがダッシュボードの中を
何やらこそこそ捜していたかと思ったら、

 「よかったら、これをなめてください」

と一粒のあめ玉を差し出してくれました。
その飴玉を口にほおり込んだら、少し落ち着きました。

その手元に残った包装袋をよく見ると、

【名古屋のタクシーは禁煙】

と書かれてありました。
そうなのです。
名古屋では、タクシーが全面禁煙となり、
ちょっと話題となっていました。

運転手さんいわく、

  「タクシーが全面禁煙になったでしょ。
   たばこを吸われるお客様からお叱りを
   受けることもあるんです。
   そんな時、

   すみません、お口が寂しいようでしたら、
   あめでもいかがですか、

   と言って渡すようにしているんです。
   でも、今日のように風邪をひいているお客様に
   お渡しすることも多いですねぇ。
   季節柄、体調を崩しておられる方も多いようですから」

タクシーっていろいろ積んでますねぇ。
それにしても、たった飴玉一粒で、
こんなに救われて幸せな気分になったことはありませんでした。

名鉄グループタクシーさんに乗った時のお話です。
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