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- 第 90 話 -  『「ね」の力』 
こんにちわ、編集長の志賀内です。


「ね」というと、
根っこの「ね」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

でも、今回は、
あのねのねの「ね」のお話です。

定期購読誌「プチ紳士からの手紙」では、昨年の秋号から、
佐野浩一の『ほんもの』探しの旅」というコーナーを
タートしました。

おかげさまで大好評。
このコーナー宛に、感想のお便りもいただいています。

佐野さんは、昭和39年大阪生まれの42歳。
中学・高校に教員として13年間勤務した後、
経営コンサルタントで有名な船井総合研究所に転進。
船井総合研究所の最高顧問・船井幸雄さんから、
船井イズムの継承者として「人づくり法」や「人間学」を
直伝されました。

余計なことかもしれませんが、
船井幸雄さんの、娘婿にあたられます。

現在は、船井幸雄グループ・株式会社本物研究所代表。
商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、
人づくりの「本物」を研究、開発し、
普及活動を行っておられます。

そんな立派な方に原稿をお願いするのは、
編集長としては、ちょっと大変です。
何が大変なのか。

どんなに偉い肩書きがある人でも、
どんなにベストセラーを連発している人でも、
完璧ということはありえません。

また、編集の段階で、
「ここは、こんなふうに書き換えて欲しいなぁ」
と思うこともあるのです。

特に、「プチ紳士からの手紙」は、CD全国の小・中学校に、
道徳の授業などで活用していただくために、無料配布しているので、
子供たちが聞くことも想定しなくてはなりません。
一つでも、間違っていると、国語の先生からお叱りを受けかねません。
それだけに、一生懸命に作っています。

さて、今年の、春号の編集中のことです。
佐野さんから送っていただいた原稿を
悩みに悩んだ末、
一部、 書き直していただこうと決意しました。

そのままでも、不都合はなかったのですが、
より良い文章にするためです。

さあ、ここからが大変です。
文章を書く人というのは、
それなりに一度送った原稿には自信があります。
それが、物書きのプライドです。

私自身も、拙いながら、
新聞や雑誌に連載コラムを持っています。
ときおり、担当の編集者から書き直しの依頼を受けます。
中には、「ボツ」ということもあります。

ずいぶん、言いにくそうに切り出す編集者もいます。
中には、筆者として、ここは譲れないという場合もあります。
その場合には、意見を戦わすこともあります。

だから・・・。
反対の立場になって、書き手に「書き直し」をお願いするのは、
ものすごく辛いのです。
気持ちがわかるから。

私は、佐野さんに、
「ここを、こう書き直して欲しい」
というメールを送りました。そして、その末尾に、
こんなメッセージを付け加えました。

  「おそらく、日本一小さな編集部で、
   日本一、身の程知らずの編集者だと思います。
   でも、いいものを作りたい。
   そういう強い思いがあります。
   生意気のことご勘弁ください。
   何かありましたら、
   お電話いただけたら幸いです。」

もう、胸が張り裂けそうな思いで、
発信しました。

まもなく、佐野さんから返事が来ました。
ドキドキしてクリックしました。
そこには、
こんなメッセージがありました。

  「おはようございます。
   了解しました。
   検討してみますね。
   しばしお時間ください。

   うれしい たのしい
   イキイキ ワクワク!
   株式会社本物研究所
   代表取締役社長 佐野浩一」

参りました。
ほっ、として身体がヘナヘナとなってしまいました。
佐野さんの返事の中の
「検討しますね」の「ね」の一字に救われました。

ああ、「ね」って、なんて優しい文字なんだろう。
普通の文章も、「ね」が一つ付くだけで、
温かな心が伝わってきます。

その後、佐野さんと電話で打ち合わせしました。
そのとき、この「ね」のことをお話すると、
こうおっしゃいました。

  「あ! 気づいていただけましたか。
   実は、一度書いた後で、どうしても気になって、
   後で『ね』の字を付け加えたんです。」

「ね」という一字も、
「プチ紳士・プチ淑女」なのかもしれませんね。

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