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| - 第 89 話 - 『嫁入り衣装の巻』 |
アフラック募集代理店・平田哲也発行
「矢田部新聞」第18号より。
もう随分前のことなんですが、
私が嫁さんと結婚してから2、3年が経った頃の話だったと思います。
(私は、世間でいうマスオさんです)
嫁さんの祖母アサエお婆ちゃんと夕食が終わった後、
その場に二人きりになった時のことでした。
(ちなみに、その当時は、まだアサエお婆ちゃんの
認知症は出ていませんでした)
アサエお婆ちゃんが、私に向かって、真面目な顔で、
自分の葬式の事を話し始めたのです。
(祖母が82、83歳の頃のことです)
「私が死んだらね、普通は真っ白の着物とかを
着せると思うばってん、
私には、タンスの中に入っとる右下に花の模様が
刺繍されている着物を着せてね」
と言うんです。
普段はとても地味なお婆ちゃんが、なぜだろうと思い、
「なんで?」
と聞いてみると、
「私はね、主人が戦争に行って、
1年ちょっとしか寄り添うとらんと。
だから、死んでもう一度主人とあの世で結ばれたいから、
花嫁の時に着た衣装ば着せてくれんね」
と・・・。
私は言葉も出ず、酒を飲んでいたせいもあり、
涙がポロポロ・・・。
その後、その衣装は一度も探していません。
もし見つかると、なんとなく嫌な予感がしたりして、
見つけることができないんです。
そんなお婆ちゃんは、今でも毎日、
何度となく、仏様に手を合わせています。
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