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| - 第 72 話 - 『蘇民将来のお話』 |
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『蘇民将来のお話』
編集長・志賀内泰弘
遅まきながら、
新年明けましておめでとうございます。
さて、何年か前に、伊勢路を旅したときのことです。
路上ウオッチングを趣味にしているので、
カメラを片手に町をぶらぶらしながら、
古い薬屋さんの看板とか、
消火栓やポストなどの写真を撮っていました。
すると、何軒もの家の軒先に
「蘇民将来子孫家門」と書かれたお札の付いた注連飾りが
掛っていることに気付きました。
たしか京都の町でも見た記憶がありました。
「夏のことなのに、注連飾りというのも妙だな」
と思いましたが、そのまま忘れていました。
その後、ある書物で、その由来を知りました。
それは、こんな言い伝えがあるそうです。
* * * * *
昔、昔の、ある冬の寒い晩のことです。
一人の男が、ある村にふらりとやって来ました。
そして、
「蘇民将来(そみんしょうらい)」と「巨旦将来(こたんしょうらい)」という
二人の兄弟の家の前までたどり着きました。
まず、大きな家の裕福そうな「巨旦将来」の家の門を叩きました。
「お腹が空いているので、食事を恵んでくれないか」
と頼みましたが、断られました。
次に、「蘇民将来」の家の門を叩きました。
すると、
「それはそれは大変ですね。
うちには粗末な食事しかないけれど、
一晩泊まっていってください」
と喜んで迎え入れてくれました。
さて、翌朝のことです。
家を出て行く前に、
「『蘇民将来子孫』と書かれたお札を
家の前に貼っておきなさい。
疫病にかからなくなります」
と言われました。
その後、その村に疫病が流行って、
「巨旦将来」を初めとして、多くの村人が病に罹りましたが、
蘇民将来の家だけは、疫病を免れたといいます。
そして、その旅人こそが、
スサノオノミコトだったというのです。
* * * * *
実は、全国に、これに似た民話が多く伝えられています。
今回、インターネットで検索してみると、
グーグルで「蘇民将来」は三万七千も出てきました。
恥ずかしながら、知らなかったのは私だけ・・・かなと。
伊勢地方では、この言い伝えを元に、
一年中、軒先に「蘇民将来子孫家門」と書かれたお札の付いた注連飾りを
掛けておく風習が残っているそうです。
さらに、江戸時代に流行した「おかげ参り」の旅人が、
路銀に困ると、伊勢の商家では食事や軒先を提供したといいます。
昔の人は、そのことを良く知っていたということです。
弘法大師伝説も同じようなお話で、
全国各地に言い伝えが残っています。
つまり・・・。
これって、ギブアンドギブ。
困っている人に手を差し伸べると、
どこからか「いいこと」がぐるぐるっと回って
還って来るという教えですね。
今年も「プチ紳士・プチ淑女」をコツコツと広めてゆきます。
今年もよろしくお願いいたします。
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