全国から、世界中から、心を癒してくれる「いい話」が届いています。ありがとうございます! プチ紳士を探せ!運動
home * ファンレター * 無料メルマガ * 商品一覧 * プチ紳士を探せ!運動 * 編集長!志賀内 * お問合せ
home >> いい話を読む - 第 65 話 -
- 第 65 話 -  『たかが、新聞。されど新聞。』 

「たかが、新聞。されど新聞」

              編集長・志賀内泰弘


先週、佐賀県の鳥栖市で講演させていただきました。
青年会議所の九州協議会の研修です。
9月に、予定されていたものですが、
台風が九州を縦断。
前日に、中止が決定しました。

にもかかわらず、
再度、日にちと場所を仕切り直してお招きいただきました。
本当に有難いことです。

前日は、博多市内のホテルに泊まりました。
このところ、ちょっと体調がすぐれなかったこともあり、
少し贅沢をしてランクの高いホテルを選びました。
ちなみに、日帰りも可能なスケジュールなので、
宿泊費は自腹です。

講演の当日、コンビニでパンと牛乳でも買って来ようか
と思ったのですが、
せっかく良いホテルに泊まったことだし、
和食のレストランで朝粥定食を食べることにしました。

思いのほか、レストランは混雑していて、
10分待ったのち、カウンターの席に座りました。
お粥なので、きっと目の前に運ばれてくるまで、
時間がかかると思いました。
そこで、和服の女性スタッフに、朝刊を持ってきてくれるように頼みました。

ところが、です。
3分、5分・・・。
いくら待っても新聞が届きません。
忘れているのでしょうか。
手持ち無沙汰で、店内のあちこちをキョロキョロと見渡していました。

私は、L字型のカウンターの角っこに座っていたのですが、
その角の隣の席には、身なりのきちんとした初老のご夫婦が座っておられました。
お二人のその会話から、佐賀を経由して博多まで旅行をして来られたようでした。

さて、ご主人の方が、女性のスタッフを手招きして、
なにやら「ひそひそ」と耳打ちされました。
そのすぐ後のことです。
別の女性スタッフが、ご主人に新聞を持って来られました。
すると、ご主人が、
「違う、違う、こちらの方ですよ」
とおっしゃるのです。

私が、スタッフから新聞を受け取って読み始めると、
しばらくしてご主人が声をかけてきました。
「ちっとも新聞を持って来ませんでしたね」
と。
私は、
「ええ、7、8分もかかりました。
え? ひょっとして、お宅様が気をきかせて請求して下さったのですか」
ご主人は、にっこりとほほ笑んで、
「はい。」
と返事をされました。

なんて気遣いの素晴らしい方だろう。
袖擦れ合うも多少の縁と言います。
このことがご縁で、食事が終る頃には、
話が弾むようになりました。

なんでも、長いことホテルと同じようなサービス業に
身を置かれていたとのことでした。
指導的な立場にあられるとのこと。
そのため、「おせっかい」とは知りつつも、
ついつい気遣いのない接遇には口を出したくなるのだといいます。

それは、けっして、クレームというのではなく、
同業者として、その世界の先輩として、
良きサービスを提供できる人間になって欲しいと願う
純粋な心からだとおっしゃいます。

「良い旅を祈っています」
と言葉を残して、私は先に席を立ちました。
幹事さんが、車で迎えに来てくださることになっていたので、
ちょっと急いでいました。
ところが、レジには誰もいなくて、勘定ができません。

「すみません」
を二度繰り返しました。
二度目は、ちょっと大きめの声で。
それでも、誰も出てきません。
はやる気持ちから、ちょっといらついてしまいました。
「すみませ〜ん!」
はしたなくも、大声で叫んでしまいました。

すると、奥から、いかにも「料理長です」
というような格好の方が出てきました。
「申し訳ございません。」
と言って、すぐさまスタッフを呼びつけてくれました。

旅というのは、不思議なもので、
ちょっとしたことで、不愉快な気分になるものです。
その日の午後には講演を控えており、
私は、縁起でもないことを考えてしまいました。
「こりゃ、先行き悪いなぁ」
と。

部屋に戻って、身支度をしていると、
電話が鳴りました。
講演会の幹事さんかな、と思って電話を取ると、
いきなり、こんな台詞が聞こえました。
「先ほどは、スタッフに不手際がございまして、
誠に申し訳ございません。
ぜひ、お部屋まで伺いまして、お詫びを申し上げたいのですが、
よろしいでしょうか」
と。

私は、
「いえいえ、別に、怒っているわけではありませんから、
大丈夫ですよ」
と言いましたが、
「それでも、ぜひお目にかかって」
とおっしゃるので、
「では、今からチェックアウトにフロントに行きますので、
そのときに」
と言って、受話器を置きました。

精算を済ませて振り向くと、
二人の男性スタッフが立っていました。
「志賀内様ですね」
「はい」
差し出された名刺には、
「料飲部長」と書かれてありました。
ホテル内のすべてのレストランを総括する責任者です。

事情を聞くと、先の初老の男性が、
私が退席したあとに、和食レストランの責任者に、
不手際が二つ続いたことを告げたらしいのです。
料飲部長さんは、「有難いことです」
とおっしゃいました。

「これに懲りずに、今後もぜひ当ホテルをご利用ください」
とおっしゃいました。
私は、この時点で既にそのつもりになっていました。
「ピンチはチャンスだ」と言います。
「クレームもチャンス」
です。
即効で、フォローされると、不愉快な気持ちは
いっぺんにどこかへ吹き飛んでしまいます。

「わかりました。
今度は、家内とプライベートに旅行で伺います」
「ありがとうございます。
その際には、ぜひ、私に直接予約のお電話をいただけますか。
また、
名古屋の私どものグループのホテルをご利用の際には、
ぜひともご一報くださいませ」

心のもやもやが、秋晴れになりました。
それも、小春日和の。
どこにでもありそうな出来事ですが、
初老のご夫婦、
料飲部長さん、
とのステキな出逢いで、博多の町が魅力的なものになりました。

もちろん、講演も、バッチリ。
(もっともこれは、自分で思っているだけですが)
帰宅して、青年会議所の皆さん宛と一緒に、
料飲部長さんにも、お礼状を出しました。
「再会、楽しみにしています」
と。

追伸
いきなり、話が脱線して長くなってしまったので、
講演会の報告は、来週お届けいたします。

 >> いい話のTOP
   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  
法令に基づく表記プライバシーポリシー運営・管理者お問合せ copyrights(C)2006 giveandgive.com All rights reserved