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- 第 51 話 - 『お母さんが守るのよ!』
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『お母さんが守るのよ!』
5年前の冬、JR金山・コンコースでの出来事です。
夕方4時ごろ、そろそろ帰宅帰りの学生やサラリーマンが
増える時間帯でコンコースには人が急ぎ足で改札口へと
歩いていました。
すると、コンコース中央の端に女性が一人うずくまり、
その横で心配そうに声を掛けている女性が目に飛び込んできました。
「大丈夫だろうか?」
と思った矢先に、
うずくまっている女性を介抱していた女性が凛とした声で
「女性の方、手伝っていただけませんか?」
とコンコースに行き交う人々に呼びかけました。
私を含め周辺にいた4〜5人の女性が、
その声に込められた緊迫感に吸い寄せられるように、
すぐその女性のもとに駆けつけました。
うずくまっている女性は妊婦でした。
同じ女性として、その状況が緊急を要することは瞬時に理解できました。
集まった女性たちに、
「皆さん、彼女と私を背に、丸く囲むように立ってください。
そして着ているコートを広げ、通行人の視線から守ってください」
彼女は冷静に、しかも的確に私たちに指示を出しました。
時々、妊婦の苦しそうなうめき声に、
介抱している女性の励ましが力強く響きます。
「生まれてこようとする命は、お母さんが守るのよ!
頑張って!」
それから間もなく、通りがかった男性が
駅員に知らせてくれたので、
担架を持って駆けつけてくれました。
駅員は、
「もう、ここからは大丈夫です。
ご協力ありがとうございました」
と言いましたが、妊婦を囲んでいた女性たちは、
誰ともなくコートを脱いだかと思うと、
駅員室まで運ばれる妊婦をコートで囲み、
通行人の視線から守りサポートしました。
そして、妊婦を駅員室まで送ると、
手伝っていた女性たちはそのまま、
何事もなかったかのように
改札口へと一人、また一人と消えていきました。
あざやかなお手伝いでした。
みんなハンサムウーマンたちでした。
そして、最初に「女性の方、手伝っていただけませんか?」
と声を掛けた女性も見事でした。
こんなことは、往来の多い駅では日常的なことなのでしょう。
そして、こうした人助けもあたり前なのでしょう。
その当時、新聞に載ることもなく、私もすっかり忘れていました。
ところが、最近、同じ金山駅のコンコースで
足の悪いお年寄りがフラフラと、
今にも倒れそうに歩いているのを
人々が追い越して振り向きもしない様子を見て愕然としました。
もし、5年前のことが今起こったら、
妊婦はどうなるだろうか?
ぞっとする思いで、
5年前の「いい話」を投稿することにしました。
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