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- 第 49 話 -  『梅雨のさ中の出来事』

「梅雨のさ中の出来事」

               志賀内泰弘


土曜日の昼下がりのことです。

コンビニの帰りに足が止まりました。
どこからか猫の鳴き声が聞こえてくるのです。
それも子猫の。

声に引かれて振り向くと、今歩いてきた道を一匹の猫が横切りました。
少し間隔を置いて、四匹の子猫が整然と並んで、
一生懸命に追いかけて行きました。

まるでカルガモの親子のように。
彼らは、雑草の茂った空き地に入りました。

遠くから見てみると、母親の周りで子猫たちがじゃれています。

なんともかわいい。

年甲斐もなく、「ミャァ〜」と声を出して呼んでしまいました。
でも、産後のせいか、母親はやせ細っています。乳も出ないかもしれない。

「そうだ!何か食べ物を持ってきてやろう」

走って家まで帰りました。
台所であちこちを探っていると、
妻に「何をしてるの」と聞かれました。

事情を話したら怒られてしまいました。

「餌なんかやったら、そこに居ついてしまうでしょ。
 近所の家では、猫が嫌いな人もいるだろうし、
 猫のふんで困っているお宅もあるのよ。
 そういう無責任なかわいがり方をしちゃだめよ」

そういえば、我家の庭でも猫がふんをして臭くて弱っています。
そのため、効き目がないと知りつつも、
ペットボトルを猫の通り道に並べているくらいです。

「でも、あのままじゃ死んじゃうよ〜」

いい歳をして、子供のようなことをを言っている自分に驚きました。

でも、かみさんの言うことが正しい。
責任を持って飼うことができない以上、
中途半端な温情は禁物なのです。

さて翌朝。

かみさんが「一度だけなら」と、
煮干を差し出してくれました。

「わかった、一度だけ」

と答えて、小雨の中を空き地へ走ります。
そこに彼らの姿はありませんでした。
何度も辺りを見渡したのですが。

雨脚が強くなってきました。
どこかで雨宿りしていることを祈り、
後ろ髪を引かれつつ家に戻りました。

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