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- 第 46 話 -  『カッコイイ小学生』

先日、ある中小企業の団体で講演をさせていただきました。
講演のあとの懇親会で、一人の経営者の方が私の前にやってきました。
名刺交換をしたあと、こうおっしゃるのです。

 「先日の中日新聞の志賀内さんのコラム、拝見しました。
  それを読んだおかげで、こんなことがありました」

と。そのコラムはこのような内容でした。
ダイジェスト版です。

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「カッコイイ小学生」

読者の方から、こんな便りが届いた。

車の運転中、交差点で左折をしようとしたとき、
自転車に乗った小学校3、4年生くらいの男の子が、
横断歩道を渡ろうとしているのが見えた。

男の子が渡るのを待つ。
ところが、その子も横断歩道の前で止まってしまった。

どうしたんだろう。
渡らないのかな、と思い男の子の顔を見ると、
こちらを向いてニコニコ笑っている。

そして、何か手をちょいちょいと動かしているのが見てとれた。

 「先に行ってください」

というサインだということに気づいた。
なんと、車が自転車に道を譲られてしまった。

普段、両親の運転する車に乗ったとき、
歩行者を渡らせてあげているのを見ているのだろう。

きっと、横断歩道のない場所でも。
それを見て「カッコイイ!」とひそかに思ったに違いない(あくまで想像)。
うれしくなって車の中でほほ笑んでしまった。

その行為を無駄にしてはいけないと思い、
あえて譲ってもらうことにしたという。
男の子にペコリとお辞儀をして。

その子はきっと
「カッコイイ大人」になるんだろうなぁ。

     *     *     *     *     *

その経営者さんは、
このコラムを読んだあと、
ビルの細い通路を通るとき、向こうからやってきた人に、

「どうぞ先に行ってください」

と道を譲ったのだといいます。
それも、生まれて初めて。

そして、今までの自分だったら、
けっして道を譲ろうとはしなかったけれど、
このコラムを読んだことがどこか記憶に残っていて

「どうぞ先に」と口に出たのだと思います、

とおっしゃるのです。

帰宅して、息子さんにその話をしたら、

 「歳のせいじゃないか」

と冷やかされたそうです。

たしかに、歳のせいもあるかもしれない。
でも、今までの自分は事業の経営に一生懸命で、
他人への気遣いには目が行かなかった。
必死だったからとおっしゃいます。

そんな自分だけど、一つのコラムで心が温かになり、
他人に、道を譲るという行動を起したのだと。

この話を聞いて、なんだか胸が熱くなりました。
手前味噌ではありますが、作家冥利に尽きます。

「プチ紳士を探せ!」運動をスタートさせて、
もうすぐ一年が経ちます。

全国のどこかで、
この経営者さんと同じことが起きていたらいいなぁ、
と密かに思いました。

小さな、小さなことだけど、
きっと、大きな輪になることを信じています。

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