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	<title>いい話の広場　【運営】プチ紳士・プチ淑女を探せ！運動</title>
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	<description>思いやりある行動をしている人、いい話をたくさん集めて広めています</description>
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		<title>いい話のＴＶ。「久しぶりに会った友人の一言が嬉しくて」志賀内泰弘《第三十四話》</title>
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		<pubDate>Thu, 23 Feb 2012 00:53:58 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[いい話のTV。]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/tv/tv_0034.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<object width="480" height="360"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/DrTT52Jm_eY?version=3&amp;hl=ja_JP"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/DrTT52Jm_eY?version=3&amp;hl=ja_JP" type="application/x-shockwave-flash" width="480" height="360" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true"></embed></object>]]></content:encoded>
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		<title>第502号　★いい言葉で賞★『人間は幸せになるために生きている（第二回受賞作品）』</title>
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		<pubDate>Wed, 22 Feb 2012 00:09:17 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[「たった一言で」コンテスト]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0502.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
神奈川県横浜市 ペンネーム：とむたむちん
＜心に響いた「たった一言」＞ 人間は幸せになるために生きている
＜「たった一言エピソード」＞ 大学卒業後、就職のため故郷を離れ、上京した。 内定を貰えな学生も多くいる中で [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>神奈川県横浜市 ペンネーム：とむたむちん</p>
<p>＜心に響いた「たった一言」＞ 人間は幸せになるために生きている</p>
<p>＜「たった一言エピソード」＞ 大学卒業後、就職のため故郷を離れ、上京した。 内定を貰えな学生も多くいる中で、希望の就職先から内定を貰い、 自信に満ちあふれていた。</p>
<p>もちろん、若気の至りだと言えばそれまでだが、 高い倍率、幾度もの面接を経て、自分は選ばれた者だと自惚れていた。</p>
<p>会社内では、夕方に帰るサラリーマンを嘲笑しながら、 申告もせず、夜遅くまで残業した。</p>
<p><span id="more-3288"></span></p>
<p>不相応な料理や酒を先輩たちの進めるがままに食し、 飲み、改めて自分がの社会的立場が高いことを実感した。</p>
<p>でも、そんな生活は、突然に破綻した。</p>
<p>自分でも「病気」だと思った。打ち合わせの席で、 相手が用意した資料に間違いがあることに気づいた時だった。 何故だか体が異常に興奮し、手が震え始めた。</p>
<p>心臓の音が頭の中まで伝わって来た。 足が震えだし座ることさえも出来なくなって椅子からずり落ちた。 目を開けていることすらできなかった。 床にひざまずいて両手で頭を抱え、死ぬかもしれないとまで感じた。 救急車で搬送され、病院で心臓の検査を受けたが、異常は無いと言われた。</p>
<p>しかし、発作は続いた。</p>
<p>二度目も検査では異常は無いと言われ、三度目に搬送された時には、 検査をした後、精神科の外来で診察を受けた。</p>
<p>心療内科で「うつ」と診断され、会社を休むことになった。 両親の元に戻り療養することになった。</p>
<p>当初2週間だった休職期間は2ヶ月になり、 また2ヶ月、2ヶ月と更新されていった。</p>
<p>故郷で自分が幼い頃に遊んだ公園や、川や、神社に散歩に出かけた。 懐かしいという思いよりも、情けない気持ちばかりだった。</p>
<p>何故こんな目に遭わされるのか悲嘆にくれ、 疲れ果て、生きていても意味がないと思い続けていた。</p>
<p>両親は励ましもしてくれたし、慰めもしてくれた。 付き合っていた彼女もよく愚痴を聞いてくれたと思う。</p>
<p>けれども、東京に就職したわが子が、日中に近所を散歩していては、 世間体が丸つぶれだとも言われた。 友人にも後ろめたくて会えなかったし、 それまで威張っていたことを後悔した。</p>
<p>ある深夜番組を見るとも無しにつけていたときに、耳に飛び込んできた。</p>
<p>「人間は幸せになるために生きている」</p>
<p>人間は沢山のものを背負って生きているし、これからも背負い続けなければならない。 でも、その中で、本当に自分が背負わなければならないものは、ほんの一部でしかない。</p>
<p>自分が価値を認めた全てのものを背負う必要はないし、 新しい価値を見つけたら今まで背負ってきたものを捨ててしまってもいい。</p>
<p>肩の荷が下りる、という言葉がぴったりと合うフレーズだった。 いい大学に進む価値。人気の会社に勤める価値。高い給料。銀座や赤坂のお店。</p>
<p>今では、結婚し、子供も二人居る。 勤めている会社は小さくなったけれど、子供たちと一緒にお風呂に入ったあと、 二本のアイスキャンディーを三人で分けて食べるのが、とても楽しい。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>第501号　ココロのメルマガ小説『カッコイイかカッコ悪いか』志賀内泰弘</title>
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		<pubDate>Tue, 21 Feb 2012 00:01:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[ココロのメルマガ小説]]></category>
		<category><![CDATA[501話～550話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0501.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
新幹線の新大阪駅。 田中作蔵は、ちょっと早めに駅に着いたため、 ホームのガラス張りの待合室に座っていた。
作蔵は大手食品メーカーの社長をしている。 ちょっとプライベートの用事があったので、 先に秘書を返して一人遅い [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>新幹線の新大阪駅。 田中作蔵は、ちょっと早めに駅に着いたため、 ホームのガラス張りの待合室に座っていた。</p>
<p>作蔵は大手食品メーカーの社長をしている。 ちょっとプライベートの用事があったので、 先に秘書を返して一人遅い新幹線に乗ることにしたのだった。</p>
<p>退屈だった。会社では、いつも誰かがそばにいる。そして何か喋っている。 まだ、予約している列車が来るまで、15分ほどある。</p>
<p><span id="more-3285"></span></p>
<p>「雑誌でも買って来ようか」と思ったその時だった。 斜め前に座っていた母娘の会話が耳に入った。 若い母親が、7、8歳くらいの女の子にこう言った。</p>
<p>「それ拾いなさい」</p>
<p>作蔵が、母親の視線の方向に目をやると、 そこには、ちょっとひしゃけたビールの空き缶が落ちていた。 女の子は、携帯ゲームに夢中だった。 チラッと見て答えた。</p>
<p>「イヤ」 「いいから拾って、ゴミ箱に捨てて来なさい」</p>
<p>それは、明らかにその母娘が落としたものではなかった。 作蔵は、ちょっといい気分になった。ホームに落ちているゴミを、娘に拾わせる。 なかなか良い教育をしているなと思った。ところが・・・。</p>
<p>「イヤ！」</p>
<p>女の子は、語気を荒げて言った。</p>
<p>「なぜ？」</p>
<p>母親は、けっして怒るわけではなく、穏やかに訊いた。 理知的な顔つきをしている。きっと育ちがいいんだろうなと思った。</p>
<p>「だって、損だもの」 「どうして損なの？　損てどういうこと？」</p>
<p>それまで、穏やかだった母親の口調が、急に厳しくなった。 作蔵は、この母親に興味を持った。どう女の子をしつけるのだろうかと。</p>
<p>しかし・・・その目論見は大きくはずれた。 なぜなら、問題の空き缶が目の前から消えてしまったからだった。</p>
<p>それは、ほんの一瞬の出来事だった。 母娘の前を通り過ぎた青年が、ちょっと屈んだかと思ったら、サッと空き缶を拾っった。 それだけではない。その青年は、ティッシュをポケットから取り出すと、 何枚かをつまんで床に零れたビール拭ったのだ。</p>
<p>「え？！」</p>
<p>女の子は再び、ゲームに夢中になった。 母親は唖然とした顔をしている。</p>
<p>いや、唖然としたのは、作蔵の方だった。 あまりにも自然というか、それは「美しい」と言っても過言ではないような自然な行動だった。</p>
<p>よくは観察できなかったが、青年の風体はあまり芳しいと言えるものではなかった。 なにやら、薄汚れたＴシャツにあちこちが破れたジーンズをはいている。 首にはキラキラと光るチェーンみたいなものを掛けていた。 何より、黒いサングラスが作蔵の印象を悪くしていた。</p>
<p>(いかん、いかん。人は見てくれじゃないな)</p>
<p>作蔵は、そう反省した。社長という仕事をしていると、 一人の人間と長い時間続けて話をするということが少なくなる。 さらに、毎日、何人もの新しい人と会う。 そのため、ついつい外見で人を判断してしまうのだった。</p>
<p>(これからは気を付けよう)</p>
<p>「え？！」</p>
<p>今にも列車が動き出そうとしている発車直前。 作蔵がグリーン車の窓側席に座って、前ポケットに置いてある雑誌に手を伸ばしたその時だった。</p>
<p>「お隣に失礼します」</p>
<p>と声を掛けられた。その声の主に目を向けると、 さきほど待合室でビールの空き缶を拾った青年だった。</p>
<p>「あ、はい」</p>
<p>作蔵は、返事にならないような返事をした。 それは、ちょっと驚いたからだった。もちろん指定席である。</p>
<p>「隣は空いてますか」</p>
<p>と尋ねるわけではない。当然、指定席のチケットを持っているから座るのだ。 先に座っている人に、「お隣に失礼します」などと、 挨拶されることなどめったにない。</p>
<p>青年は笑顔で会釈をし、荷物を棚に上げると作蔵の隣に腰かけた。 いや、正確には、笑顔だったかどうかわからない。 サングラスをしたままなので、表情がよくわからないのだ。 耳たぶには、イルカの形のイヤリングがキラキラと揺れていた。 青年は、再び、ちょっとだけ腰を浮かせて後ろを振り向く。</p>
<p>「恐れ入ります。座席を少しだけ倒してもよろしいでしょうか」</p>
<p>後ろの中年男性が、パソコンの画面から顔をチラッと上げて、</p>
<p>「どうぞ」</p>
<p>と答えた。 作蔵は、またまた感心した。</p>
<p>「うん、この若者はやるじゃないか」</p>
<p>もし、うちの会社に就職試験を受けに来たなら、 社長の特別枠で推薦して入社させたいと思ったほどだった。 いや、もし、他の会社に勤めていても、ヘッドハントしたいくらいだ。</p>
<p>そんなことを、つらつらと考えているうちに、 「まもなく京都、京都です」という車掌のアナウンスが聞こえた。 隣の席の青年は、腕組みをして目をつぶっている。 いや、目をつぶっているかどうかは、サングラスをしているのでわかならいなが・・・。 まだ京都では降りないらしい。</p>
<p>さらに30分が経った。</p>
<p>作蔵は、青年のことが気になって気になって仕方がなかった。 いったい、どんな生い立ちなんだろう。どんな仕事をしているのか。 いや、まだ学生かもしれない。10代・・・いや、そんなことはなかろう。 25歳くらいか。ひょっとして、30代かもしれない。</p>
<p>彼がもし名古屋で降りてしまったら、二度と会うことができない。 そう思うと、居ても立ってもいられなくなってしまった。 青年は、姿勢を変えずにややうつむき加減で眠っている様子。 作蔵は、失礼かとは思いつつも、思い切って声をかけてみることにした。</p>
<p>「あの、お休みのところ申し訳ございませんが・・・」</p>
<p>そう言うと、青年は、ビクッとして顔を上げた。そして、作蔵の方を向いて腰を浮かせた。</p>
<p>「あっ、ごめんなさい。どうぞ」</p>
<p>どうやら、作蔵がトイレに行きたいのだと勘違いしたようだった。</p>
<p>「い、いえ、そうではないのです」 「え・・・？」</p>
<p>青年は、腰を少し浮かせたまま、サングラス越しに作蔵を注視した。</p>
<p>「大変唐突ではありますが、一つ、あなたにお聴きしたいことがあります」 「はあ・・・」</p>
<p>青年の驚いた様子が見てとれた。</p>
<p>「先ほど、新大阪駅の待合室でのことです。あなたは、空き缶を拾われましたよね」 「・・・はい」 「そして、ティッシュで床を拭いた」 「あ、はい」 「なぜ、そんなこと・・・と言っては失礼かな、そういうことが自然にできるのですか」</p>
<p>青年の返事はなかった。「いったい、このシジイは何者なんだ」と思われているに違いない。 作蔵は、少し後悔をした。しかし、せっかくの機会を逸するのは性分に合わない。 臆することなく、さらに言葉を続けた。</p>
<p>「本当に、隣の席になったというだけで、こんなことをお尋ねして申し訳ありません。 　年寄りのことだと思って勘弁してください。さきほど、あの空き缶をね、 　近くに座っていた若い母親が、小学2年生くらいの娘さんにね、 　『拾ってゴミ箱に捨てて来なさい』と言っているのが聞こえたのです。 　そうしたらですね、その女の子が『損だから嫌だ』と言うんですな。 　私もそれを聞いて、ちょっとだけムッとしたのですが、 　何が損なんだろうとチラッと考えたりしましてね。 　その母娘の会話の続きがどうなるかと注意して見守っていたところに・・・」 「ハハハッ」</p>
<p>そこで、作蔵の言葉をさえぎるようにして、青年が笑いだした。</p>
<p>「・・・」 「僕がその邪魔をしてしまったのですね」 「いや、邪魔というわけじゃなく・・・ご立派な方だと思いました。本当に」 「やめて下さい。ご立派だなんて」 「いやいや、立派です。なかなかできることではありません」 「僕は、そんなこと考えたことはありませんよ」</p>
<p>青年は、大きく首を振った。</p>
<p>「これまた謙虚な」 「いえ、謙虚でもなんでもないんです。これは生き方の問題なんです」</p>
<p>そう言うと、青年は、かけていたサングラスをはずし、話を続けた。 それは、二重瞼で、まるで歌舞伎役者のような凛とした瞳をしていた。</p>
<p>「あのですね。その女の子が、『損だから嫌だ』と口にしたそうですね」 「はい」 「僕はね、そういうのを否定はしないんです。 　世の中、誰かが得をすれば、誰かが損をする。それは仕方のないことです」 「ふむ」 「でもね、僕は根性が曲がっているというか、ひねくれ者なので、 　そういう考え方に抗って生きたいと常々思っているんです」 「ほほう、抗う・・・どういうふうに？」 「はい、損か得かという判断基準は捨てちゃうんです。 　それでね、カッコイイかカッコ悪いか、それだけで決めているんです」 「・・・！」 「あの時、この列車が来るまで時間があった。ホームで待つのもちょっと寒いし、 　待合室で時間を潰そうと思って中へ入った。すると、目の前に空き缶が落ちているのが目に入った。 　辺りにビールが零れている。これは、拾った方がカッコイイと思った。 　さらに、拭いた方が、もっともっとカッコイイと思った。ただ。それだけのことです」 「カッコイイですか」 「そう、そうした方がカッコイイじゃないですか。 　反対に、そのままにして、見て見ぬフリをしたらカッコ悪いでしょ」 「ということは、あの時、私も含めてあの場にいた人たちはみんな、カッコ悪い人ばかりでしたね」 「いえいえ、そんな皮肉で言っているんじゃないんです。勘弁してください。 　他人のことはどうでもいいのです。ひねくれ者の僕に限った生き方ですから」</p>
<p>作蔵は慌てて右手を振って謝った。</p>
<p>「そんなつもりで言ったのではありません。カッコイイとか、 　カッコ悪いとかいう基準が、あまりにも新鮮で感動してしまったのです」 「感動ですか？」 「はい、感動です」 「そんなのやめてください。僕は道徳とかなんとかいうのが苦手なんです。 　人に親切にしましょうとか。いつも掃除をしましょうとか、そういうのがどうも・・・。 　けっして良い子ではありませんでしたから。どっちかというと不良みたいな・・・。 　単純なんですよ、カッコイイか悪いかで判断すると」 「それがあなたの生き方なんですね」 「はい、生き方です」</p>
<p>作蔵には、青年の瞳が眩しいほどに輝いて見えた。</p>
<p>その時だった。バタバタッと、若い女性3人が騒がしく二人の席に近づいて来た。 こういうのをキャーキャーと言うのだろう。 そのうちの一人が、青年の向かって言った。</p>
<p>「あの～ドルフィン・ウェーブの佐久間さんですよね」 「・・・」</p>
<p>青年は困った表情を見せた。作蔵には何が何かわかならない。</p>
<p>「サインしていただけますか」 「しまった」</p>
<p>と言いつつ、青年はサングラスをはめて答えた。</p>
<p>「いいですよ。でもね、ここは公共の場です。 　周りのお客さんに迷惑にならないように静かにね」</p>
<p>二十歳くらいの学生だろうか。そう言われて、顔を赤らめていている。</p>
<p>「ごめんね。怒ってるわけじゃないからね」</p>
<p>そう言うと、差し出されたキャラクターのデザインの大学ノートにサインをした。</p>
<p>「君たちも？」</p>
<p>と、ささやくように小さな声で訊いた。</p>
<p>「はい、お願いします」</p>
<p>と言い、一人の女の子は、クルッと向きを変えて背中を見せた。 どうやら、白いシャツの背中にサインして欲しいということらしい。 その三人組が去った後、作蔵は青年・・・いや佐久間に尋ねた。</p>
<p>「あなたは、ひょっとして有名なんですね」 「いや、有名というかなんというか・・・音楽を少しやっていて」 「ミュージシャンですか」 「まあ、そんなところです」 「今日は、いい勉強になりました。カッコいいか、カッコ悪いか。 　そのカッコとは、外見のことではなくて、中身・・・つまり生き方のこと」 「よしてください。若い者をからかうのは」</p>
<p>アナウンスが、もうすぐ品川駅に到着することを告げていた。 この青年、いやドルフィンなんとかの佐久間君に、また会いたいと思う作蔵だった。</p>
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		<title>第500号　ちょっといい話『人生の壁を超える【１】…一生懸命』志賀内泰弘</title>
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		<pubDate>Fri, 17 Feb 2012 00:34:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[元気が出るいい話]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/genki/vol_0500.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
友人の釘山健一さんが新刊を出しました。 そのタイトルを見て、「やられた！」と思いました。 なぜなら、私が書こうと思って、企画を温めていたもと似ていたからです。
その本とは、
「人生の壁？楽しんでいたら超えていた！ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>友人の釘山健一さんが新刊を出しました。 そのタイトルを見て、「やられた！」と思いました。 なぜなら、私が書こうと思って、企画を温めていたもと似ていたからです。</p>
<p>その本とは、</p>
<p>「人生の壁？楽しんでいたら超えていた！」（ごま書房新社） http://www.amazon.co.jp/dp/4341085042</p>
<p>です。</p>
<p>釘山さんは、めまぐるしい職歴の持ち主です。 最初は、小・中学校の教員。 次が、ＩＴ関係、自然食品、化粧品、輸入家具、損害保険などの営業マン。 ここで10回の転職を経験します。</p>
<p><span id="more-3283"></span></p>
<p>その次が、大きなＮＰО団体の事務局長。 それぞれ10年ずつ働きました。</p>
<p>そして、今は、会議ファシリテーター普及協会の代表として、 全国の行政や企業で年間100回以上の講演や研修をこなす大忙しの活躍です。</p>
<p>なんというバラエティに富んだ人生でしょうか。 その間、失業も3回経験します。</p>
<p>さまざまな壁が釘山さんの前に立ちはだかりました。 でも、その壁を一つひとつ乗り越えてきました。 その方法とは・・・。</p>
<p>この本には、私がそれまで聞いていなかったエピソードがいくつも綴られていました。 その中から、「そうか、ここに釘山さんの壁を乗り越える秘密があったのか！」 というエピソードを見つけました。</p>
<p>「人生の壁？・・・」の本の中から、 小学校の先生時代の話を抜粋して紹介させていただきます。</p>
<p>*　　　　　*　　　　　*　　　　　*</p>
<p>あるとき４年生の社会で「寒い地方のくらし、暖かい地方のくらし」という授業があった。 教科書には寒い地方や暖かい地方のくらしぶりがわかる写真が何枚も載っていた。</p>
<p>しかし、私は「これでは全くわからない。」と思った。雪の写真を触っても冷たくない。 暖かい地方の写真を見ても暑くない。もっとリアルに体験することはできないものか？</p>
<p>そのとき、ある教育関係の本から「沖縄のサトウキビ」を使った社会科授業のレポートを見つけた。 何と沖縄のサトウキビは４ｍにもなるらしい。 これだ！そう思った私はすぐに何のあてもなく那覇市の市役所に電話を入れていた。</p>
<p>「すいませんが、小学校の社会科の授業で使いたいので 　サトウキビ１０本ほどいただけないでしょうか？」</p>
<p>ただでもらおうという魂胆であった。そうしたら、なんとあっけなく「無料でいい。」という返事が返ってきた。 電話してみるものだと思った。しかし、</p>
<p>「無料でいいですが、輸送費はそちらで負担してください」</p>
<p>と言われた。当然だ。早速、校長先生にお願いしたが、駄目だった。 そこで、とにかく一か八か全日空（日航だったかな？）に電話した。</p>
<p>「小学校の社会の授業で沖縄のサトウキビを使いたいのですが、 　愛知県まで運んでもらえないでしょうか？」</p>
<p>と。そうしたら、何とこちらも少しだけ検討したあと、あっけないほど簡単に</p>
<p>「いいですよ」</p>
<p>と言われた。またまた言ってみるものだと思った。 しかし、飛行機の貨物室には２ｍのものしから入らないという。</p>
<p>飛行機で運ぶためにはサトウキビを半分に切らないといけないというのだ。 これは悩んだ。４ｍとういう長さがインパクトがあるのだ。切りたくない。</p>
<p>どうしようか？</p>
<p>しかし、よく考えたら、２ｍでもかなり大きい。 ２ｍでも子どもたちがびっくりすることは間違いないと判断し、 半分の長さに切って輸送してもらうことにした。</p>
<p>サトウキビが沖縄から運ばれてきた日、予想外なことが起きた。 それは、年配の先生方がサトウキビにとても興味を示してくれたのだ。</p>
<p>「懐かしい、昔はこればかりかじっていたよ」 「これは、こうやって食べるんだよ」</p>
<p>と食べ方を教えてくれたりして、子どもたちよりも喜んでいた。</p>
<p>このことは地元の愛知県の新聞に載ったのはもちろん、 沖縄県では２つの新聞社にかなり大きく取り上げられた。</p>
<p>私自身このとき初めてサトウキビをかじった。 甘かった。そして、楽しかった。</p>
<p>*　　　　　*　　　　　*　　　　　*</p>
<p>いかがでしょうか。 まずは、熱意。</p>
<p>子供たちに、リアルな体験をさせてやりたいという気持ちです。 次が、それを即座に行動に移すこと。 そして、その方法は、無手勝流。常識に囚われず、当たってくだけろ。</p>
<p>ここに、釘山さんの「壁を超える」秘訣がありました。</p>
<p>どんな仕事に就いても、この「生き方」は活かされ、 あらゆる場面で抜群の実績を収めます。</p>
<p>一言で表すと、「一所懸命」でしょうか。 今、就職難の時代と言われていますが、 「一所懸命」であればみんなが認めてくれるんだ ということを釘山さんは証明してくります。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>いい話のTV。「ソムリエが言う『おじぎ』とは」志内泰弘《第三十三話》</title>
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		<pubDate>Wed, 15 Feb 2012 23:58:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[いい話のTV。]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/tv/tv_0033.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<object width="480" height="360"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/FbC6tbcE1hM?version=3&amp;hl=ja_JP"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/FbC6tbcE1hM?version=3&amp;hl=ja_JP" type="application/x-shockwave-flash" width="480" height="360" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true"></embed></object>]]></content:encoded>
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		<title>第499号　★こころぽかぽか賞★『自分は自分、人は人たい（第二回受賞作品）』</title>
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		<pubDate>Tue, 14 Feb 2012 23:40:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[「たった一言で」コンテスト]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0499.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
熊本県宇土市 氏名：福嶋　文香
＜心に響いた「たった一言」＞ 自分は自分、人は人たい。
＜「たった一言エピソード」＞ これは、母からの言葉でした。 いじめを受けていた高校時代、
「なんで私は人より出来ないんだろ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>熊本県宇土市 氏名：福嶋　文香</p>
<p>＜心に響いた「たった一言」＞ 自分は自分、人は人たい。</p>
<p>＜「たった一言エピソード」＞ これは、母からの言葉でした。 いじめを受けていた高校時代、</p>
<p>「なんで私は人より出来ないんだろう」 「なんで私はこんな性格なのだろう」</p>
<p><span id="more-3279"></span></p>
<p>と、自分を責める癖のあった私。</p>
<p>家族とも喧嘩の毎日で、両親を責める日々。 そんな暗い闇の中にいた私に母が一言</p>
<p>「自分は自分、人は人たい」</p>
<p>と、言葉をくれました。</p>
<p>その言葉を聞いた瞬間から、 とても楽になり自分に自信を持つようになりました。</p>
<p>今では社会に出てしっかりと働く事が出来ています。 たった一言が、魔法の言葉になるんですね。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第498号　ココロのメルマガ小説『駄菓子屋のオバチャン』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0498.html</link>
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		<pubDate>Tue, 14 Feb 2012 00:21:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[ココロのメルマガ小説]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0498.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
内藤武史は、久しぶりに故郷の町を訪れた。
中学時代の友達が結婚したのだ。 あいにく、海外に赴任していたので結婚式には出られなかった。 その代わり、打ち合わせで日本の本社へ戻ってきたのを利用して、 新婚家庭を冷やかし [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>内藤武史は、久しぶりに故郷の町を訪れた。</p>
<p>中学時代の友達が結婚したのだ。 あいにく、海外に赴任していたので結婚式には出られなかった。 その代わり、打ち合わせで日本の本社へ戻ってきたのを利用して、 新婚家庭を冷やかしに行くことにしたのだ。</p>
<p>駅を降りる。マサシの家までブラブラ歩く。 20年ぶりに見る駅前商店街は、すっかりさびれていた。 懐かしい、というよりも、悲しさがこみ上げてくる。</p>
<p>途中の角を曲がり、建具屋を継いでいるマサシの家の方へと足を向けた。</p>
<p><span id="more-3277"></span></p>
<p>「あっ」</p>
<p>武史は思わず声を漏らした。それは、小さな店の前だった。 木枠にはめられたガラス戸に、稚拙ではあるが、大胆に大きな文字で書かれていた。</p>
<p>「長い間、ありがとうございました。 　三月末日で閉店させていただきます」</p>
<p>武史は思った。</p>
<p>(まだ、やってたんだ)</p>
<p>もうすぐ閉店するということよりも、「まだ続いていた」ことに驚いた。 それは、武史が幼い頃に、毎日のように通った駄菓子屋だった。 見上げると、二階の軒先に、「田中パン」とペンキで書かれた看板が掛かっていた。</p>
<p>武史には、ほろ苦い・・・いや、辛い思い出のある店だった。 「あの日」があったから、「今」がある。 忘れていたわけではないが、思い出すと胸が苦しくなった。</p>
<p>小学5年生のときのことだ。 いつものように、学校から帰ると「田中パン」に出掛けた。 店内には、近所に住む6年生二人の男の子がテレビアニメのカードを選んでいた。 彼らは、近所でも有名な悪ガキだった。</p>
<p>(今日は何にしようかな)</p>
<p>と店内をぐるぐると見回していたときのことだった。 その6年生二人が、オバチャンの目を盗んで、 シガレットチョコをポケットに入れるのを見てしまった。 オバチャンはテレビの水戸黄門の再放送を見ていて、 まったく気づいていない様子だった。</p>
<p>武史は思わず、</p>
<p>「あっ」</p>
<p>と口にした。それがいけなかった。6年生二人がこちらを見て睨んだ。 そのうちの一人、たしかケンと呼ばれている方が、並んでいるシガレットチョコをグッと、 わしづかみにして武史の方へとやってきた。 そして、有無を言わせず、武史のジャンパーのポケットの中へねじ込んだ。</p>
<p>「やめて・・・」</p>
<p>と言うと、</p>
<p>「これで共犯だからな」</p>
<p>と言い、腕を無理やり引っ張って、外へ連れ出した。 そのまま公園まで連れて行かれ、</p>
<p>「一緒に食べようぜ」</p>
<p>と言われた。抵抗したが、包みを剥いたシガレットチョコを またまた無理やり口の中へねじ込まれた。 大好きで、いつも食べているチョコなのに、ちっとも美味しくなかった。</p>
<p>その後・・・。一人になって、何度も「田中パン」の前を行ったり来たりした。 オバチャンに謝って返そうと思った。 しかし、6年生のケンの言葉が頭の中でグルグルと回っていた。</p>
<p>「共犯だからな」</p>
<p>公園で、ひと箱食べてしまっていた。それが罪の意識を高めた。 とうとう、店に入ることができずに、家に帰った。</p>
<p>それ以来、「田中パン」へは一度も行っていない。 何度も友達に誘われたが、適当にごまかして行かなかった。 怖くて行けなかったのだ。</p>
<p>話はそれで終わらなかった。そのことがきっかけで、6年生二人に、何度もからまれた。 中学に入ってからは、彼らの子分みたいになり、 いわゆる「不良」と呼ばれるようになってしまった。 それもこれも、「あの日」が始まりだった。</p>
<p>「留守にしててごめんなさいよ」 「え？」</p>
<p>武史は後ろから声をかけられてビクッと身体を強張らせた。 振り向くと、小柄なお婆ちゃんがいた。すぐにわかった。 「田中パン」のオバチャンだった。 20年の歳月は、オバチャンの頬にシワを刻んでいた。</p>
<p>「今、開けますからね」 「い、いや・・・ありがとう」 「はい、入ってね」 「お邪魔します」</p>
<p>武史は、まるで会社で営業先を訪ねるときのように答えた。</p>
<p>「まあまあ、ずいぶん丁寧なこと」</p>
<p>オバチャンは、ヨイショと声を出して、カマチを上がってこちらを向いて座椅子に座った。</p>
<p>「あのね、毎日のようにね、あなたのような立派な大人の人が店に来るんですよ」 「は、はあ」</p>
<p>武史は、オバチャンが何を言わんとしているのかわからなかった。</p>
<p>「あの貼り紙をしてからね、ウワサが町に広がっているらしくてね、 　昔からの常連さんがやってくるのよ。オバチャ～ン、辞めるんだって～」</p>
<p>武史はようやく理解できた。昔・・・武史と同じように、 この店に通っていた子供が、「店じまい」と聞きつけて、懐かしくなって訪ねてくるのだ。</p>
<p>「昨日もね、タカシ君とターちゃんが来てくれたのよ。あなた知ってる？」</p>
<p>「い、いえ・・・」 「そうよね・・・学年が違うとわからないものね」 「は、はい」 「そうそう、先週はね、ミヨちゃんも来てくれたの。知ってるでしょ。 　本町の高岡医院の・・・。お父さんの後を継いで、女医さんになったのよ」 「ああ、高岡医院なら知ってます」</p>
<p>武史も幼い頃、風邪をひいて診てもらったことがある。 ミヨちゃんとかいう女の子のことは覚えがないが。 オバチャにとって、「山田」とか「佐藤」とかいう名字は関係ないのだろう。</p>
<p>あの頃、子供たちがお互いに呼び合っている「ターちゃん」とか 「ミヨちゃん」という名前だけがインプットされているのだ。</p>
<p>「みんなね、昔と違ってお金を持ってるでしょ。もうびっくりしちゃう。 　あれもこれもって、一人で千円くらい買ってくんだから・・・」 「ヘエ～」</p>
<p>ついついオバチャンの話に引き込まれて、武史は頬を緩ませた。</p>
<p>「そうそう、びっくりしちゃった。この前なんかね、 　いきなり家の前に外国の大きな車・・・ベンツとかいう・・・それが停まってね」 「へえ、ベンツ！」 「そうなのよ！」</p>
<p>オバチャンは夢中で話をする。</p>
<p>「中から出てきたのが、ケンちゃんなの」 「・・・」 「知ってるでしょ、ケンちゃん。ほら、お父さんが土建屋さんで、 　不良で有名だったじゃない。何度も警察沙汰を起こしてさ」</p>
<p>武史は青ざめた。そして、胸の鼓動を押さえることができなかった。 (それって、あの「ケン」に違いない。オレを共犯にした)</p>
<p>「それがさ、困っちゃうのよね」</p>
<p>武史は、心の中を悟られないようにして訊いた。</p>
<p>「何がですか？」 「ちょっとシャレた上着からね、財布を取り出したらね、 　パッとお札を取り出して差し出すのよ」 「・・・」 「それがね、一万円札なのよ、ピンピンの」 「ほう」 「それでね、これで買えるだけ袋に入れてくれって」 「それはスゴイなぁ」 「そうでしょ。でもね断ったの。だって一万円も買われたらね、 　お店の商品の大半が無くなってしまうじゃないの。 　だってうちは、1個10円とか30円とか。 　一番高いサインペンセットだって、500円だもの」 「そうですよね」</p>
<p>武史は、あまりにも欲のないオバチャンに驚いた。</p>
<p>「だってね、このところ毎日のように、昔のチビッコたちが来てくれるでしょ。 　もう新しく仕入はするつもりはないから、商品が無くなったら困るのよね」</p>
<p>武史は、迷っていた。今ならまだ白状できると。 いや、ひょっとすると、これは神様が自分に与えてくれた懺悔のチャンスなのかもしれない。 そう思っているところへ、オバチャンが訊いてきた。</p>
<p>「あなた、なんていう名前だったかしらね。最近、物忘れが激しくて・・・」</p>
<p>武史は、とっさに答えた。</p>
<p>「内藤です」 「内藤・・・なんていうの」 「内藤武史」 「あ、ああ」</p>
<p>武史は視線をそらした。ひょっとして、オバチャンは、「あの日」のことを思い出したのではないか。 さっきはケンの話をした。それは偶然ではなく、自分の顔を覚えていたからではないか。 その確認のために、あえて名前を訊ねたのではないか。手のひらに汗が滲んだ。</p>
<p>「タケシ君？・・・ごめんなさいね。覚えがないの」 「いいですよ。覚えてくれていなくても」 「ごめんなさいね」 「あの～、千円分くらいなら売ってもらえますか？」 「いいのよ、無理しなくても」 「大丈夫ですよ、私もちゃんとした大人なんだから」 「ああ、そう。じゃあ好きなの選んでね」 「今から、昔の友達の家に行くんです。いいお土産になるから」 「じゃあ、デパートの紙袋をあげるわ・・・コレに入れなさい」</p>
<p>オバチャンはそう言って、棚の上から背伸びをして紙袋を取り出した。</p>
<p>「あの～」 「はい、何？」</p>
<p>武史は意を決し、姿勢を正して言った。</p>
<p>「謝らなきゃいけないことがあるんです」 「どうしたの急に」</p>
<p>その様子にオバチャンはキョトンとしている。 その先は、スラスラと口にすることができた。</p>
<p>「私、この店で万引きしたことがあるんです。ごめんなさい。 　25年くらい前・・・小学5年の時でした。上級生に脅されて。 　でも、万引きしたことには違いないんです。 　それ以来、一度もここへ来れませんでした。本当にごめんなさい」 「いいのよ、そんなこと」 「そんなことって・・・」</p>
<p>オバチャンは微笑みながら答えた。</p>
<p>「あのね、昔からね、駄菓子屋なんて万引きは当たり前なのよ。 　なにしろ子供相手だからね。いちいち怒っていたら始まらないの」 「でも・・・」 「そりゃ、一つ10円とかのものを売っているんだから、万引きされたら辛いわよ。 　でも、心配なのは、その子の将来なのよ。嘘つきは泥棒の始まり。 　万引きは泥棒の始まり。そうそう、さっき話したケンちゃん、立派な社長さんになってたのよ。 　あの子も、しょっちゅう万引きしてたのにね」 「え！知ってたんですか」 「もちろんよ、だって1回や2回じゃないもの」 「ええ？！」 「この前、頭かいて、ケンちゃんも謝ってたわ・・・ところであなたは、今、何をしているの？」 「あ、はい。ＩＴ・・・いや、通信会社に勤めていて、今はイギリスで働いています」 「ええ～イギリス？」 「ええ」 「じゃあ、英語もペラペラなの？」 「ペラペラっていうか、仕事ができる程度に」 「まあ、出世したのね、よかった。ちゃんとした大人になって」 「はい、おかげさまで」</p>
<p>何とも救われた気分だった。 ずっと背中に負っていた荷物を下ろしたような。</p>
<p>武史が、デパートの紙袋いっぱいの駄菓子を手にして、店を出ようとすると、</p>
<p>「ちょっと待って」</p>
<p>とオバチャンは、健康サンダルをつっかけて追いかけてきた。</p>
<p>「チョコ持ってって」 「え！」 「だって、今日はバレンタイン・デーでしょ」</p>
<p>そう言うと、無理やり武史の手に握らせた。</p>
<p>「私みたいなお婆ちゃんからチョコをもらうのは嫌？」 「ううん、とんでもない、ありがとう」</p>
<p>手のひらを開き、目をやって血の気が引いた。 武史は見下ろすようにして、オバチャンの瞳を見つめた。</p>
<p>「たしか、タケシ君は、シガレットチョコが好きだったでしょ。今、思い出したの」</p>
<p>言葉を失った武史は、目頭に熱いものがあふれてくるのを感じた。 そして・・・心に決めた。 なんとしてでも休暇を取って、もう一度、 ホワイト・デーにオバチャンに会いに来ようと。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第497号　ちょっといい話『罰金より返金？』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/yakudachi/vol_0497.html</link>
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		<pubDate>Fri, 10 Feb 2012 01:54:26 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[役に立ついい話]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/yakudachi/vol_0497.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
当メルマガへの度々の投稿や、以前、月刊紙「プチ紳士からの手紙」に 連載もお願いしていたことで、すっかりのお馴染みの 鹿児島の池田学園・副理事長・池田真実さんから次のような文章が届きました。
学校の新聞「池田ニュース [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>当メルマガへの度々の投稿や、以前、月刊紙「プチ紳士からの手紙」に 連載もお願いしていたことで、すっかりのお馴染みの 鹿児島の池田学園・副理事長・池田真実さんから次のような文章が届きました。</p>
<p>学校の新聞「池田ニュース」に掲載されたものです。</p>
<p>*　　　*　　　*　　　*</p>
<p>『罰金より返金？』</p>
<p>池田学園  副理事長　池田真実</p>
<p>「ｆｉｎｅ」という単語には「すばらしい」という意味の他に 「罰金」という意味がある。</p>
<p><span id="more-3272"></span></p>
<p>シンガポールは「Ｆｉｎｅ　Ｃｏｕｎｔｒｙ」とよばれているが、 この両方の意味を兼ねているのだろう。</p>
<p>この国ではゴミのポイ捨てに対して厳しい罰則があり、 美しい街はこの規律で保たれている。</p>
<p>ところで、バイキング(食べ放題)方式をとっている日本のあるお店では、 お客が食べ残すことがほとんどないそうだ。</p>
<p>シンガポールの罰則と同じように、残すと何らかのペナルティ(罰金)でも あるのだろうと思った。</p>
<p>答えは全く逆で、</p>
<p>「食べ残しがなければ一人につき百円ずつキャッシュバック（返金）される」</p>
<p>というものだった。食べ物の無駄もなくなるので 近江商人の経営理念でもある「売り手良し・買い手良し・世間良し」の 「三方良し」になるというわけだ。</p>
<p>教育でいうと罰金が「叱る」、返金が「ほめる」にあたるのだろう。 罰則の前にやることがたくさんありそうだ。</p>
<p>*　　　*　　　*　　　*</p>
<p>いやぁ、ドキッとしました。</p>
<p>これは、まさしく、人を動かす方法ですね。 「人を動かす」などというと人聞きが悪いとすると、 「人を育てる」方法でしょうか。</p>
<p>叱られると、人は言うことを聞かない。 でも、ちょっと工夫をして、褒めれば勧んで動く。</p>
<p>学校と教育の場だけでなく、 会社の中でも活かすことができそうなエピソードです。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>いい話のTV。「料理で一番大切なことは」志内泰弘《第三十二話》</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/tv/tv_0032.html</link>
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		<pubDate>Wed, 08 Feb 2012 23:47:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[いい話のTV。]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/tv/tv_0032.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<iframe width="480" height="360" src="http://www.youtube.com/embed/lakOXzYpiic" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第496号　★いい言葉で賞★『頑張るな、努力しろ（第二回受賞作品）』</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0496.html</link>
		<comments>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0496.html#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 07 Feb 2012 21:59:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[「たった一言で」コンテスト]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0496.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
東京都北区 氏名：高内　真吾
＜心に響いた「たった一言」＞ 頑張るな、努力しろ
＜「たった一言エピソード」＞ 仕事に行き詰まっている時に上司に言われた一言です。 私は、今年入社したばかりでなかなか仕事の上達がうま [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>東京都北区 氏名：高内　真吾</p>
<p>＜心に響いた「たった一言」＞ 頑張るな、努力しろ</p>
<p>＜「たった一言エピソード」＞ 仕事に行き詰まっている時に上司に言われた一言です。 私は、今年入社したばかりでなかなか仕事の上達がうまくいかなくて 失敗ばかりしている私を見かねて上司に言われました。</p>
<p>「いつも出勤１時間前には出社し、 　真面目にまともに頑張って、 　礼儀正しく仕事をして頑張っているのだが、 　お前には努力が足りない。 　つまり、他の人の動きや態度などを真似たり、 　観察をして自分のものにしていく。 　あるいはそうすることについて、 　考えなければ一生成長しない」</p>
<p><span id="more-3267"></span></p>
<p>そう言われて、ショックで落ち込みましたが、 よくよく考えてみたら的を得た意見で、 次の出勤からは早めに出勤した時には他の人の準備作業や仕事を観察し、 何がいいのか悪いのかということを始めました。</p>
<p>たしかにまだまだ成長具合は少ないかもしれないですが、 この上司に言われた一言を忘れずに どん欲に努力して生きていきたいと思いました。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第495号　ココロのメルマガ小説『一緒に住めない』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0495.html</link>
		<comments>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0495.html#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 07 Feb 2012 00:01:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[ココロのメルマガ小説]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.giveandgive.com/?p=3265</guid>
		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0495.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
貴臣(たかおみ)はショックだった。 間違いなく、妻の幸恵はオーケーしてくれるものと思っていた。 それなのに、
「私、お義母さんとは一緒に住めないわ・・・ごめんなさい」
と言われてしまったのだ。
一年前、貴臣の父 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>貴臣(たかおみ)はショックだった。 間違いなく、妻の幸恵はオーケーしてくれるものと思っていた。 それなのに、</p>
<p>「私、お義母さんとは一緒に住めないわ・・・ごめんなさい」</p>
<p>と言われてしまったのだ。</p>
<p>一年前、貴臣の父親が亡くなった。 ほとんど、急死といってもいいほどの出来事だった。 勤め先を退職してから、地域のボランティアをして暮らしていた。 ＮＰОを立ち上げて、もっと大きな組織にするんだと口にしていた矢先のこと。</p>
<p><span id="more-3265"></span></p>
<p>早朝に公園の清掃活動をしていて、心筋梗塞に襲われた。 救急車で病院に運ばれ、九死に一生を得た。</p>
<p>しばらくは安静にと言われ数日後に退院。 ところが、その翌朝も清掃活動に出掛けてしまい、 再び発作が起きた。今度は助からなかった。</p>
<p>母親は、かなり参っていた。 貴臣は、昔から両親のケンカする姿を見たことがなかった。 よく二人で旅行にも出かけているようだった。</p>
<p>それだけに、ポツンと一人になった母親は、寂しそうだった。 そこで、「一緒に暮らそう」と持ちかけた。 母親は、「一人が気楽でいいから」と言い、断られた。</p>
<p>それは最初からわかっていた。 貴臣が結婚したときから、ずっと口癖のように言っていたからだ。</p>
<p>「あなたたちは、あなたたち。わたしたちは、わたしたち。別々が上手くゆくのよ」</p>
<p>人に気を遣われるのが嫌いなのだという。 しかし、今度は事情が違う。</p>
<p>母親も、もうすぐ70歳になる。持病のリウマチと糖尿病も心配だ。 無理やりにでも、連れて来るつもりだった。ところが・・・。</p>
<p>「私、お義母さんとは一緒に住めないわ・・・ごめんなさい」 「え？・・・なんでだよ」</p>
<p>貴臣と幸恵には、二人の子供がいる。 一人は19歳の男の子。すでに大学へ入って下宿生活をしている。 もう一人は高校3年の女の子。推薦入学が決まり、こちらも春には家を出る予定だ。</p>
<p>手のかかる子供もいなくなる。 何より、貴臣が安心していたのは、幸恵と母親の良子の間に、 世間で言うところの「嫁と姑」の間のいさかいがないことだった。</p>
<p>不思議なことに、結婚当初から二人は気が合ったようだった。 待ち合わせて、二人でショッピングに出掛けたり、双方の家を行き来したり。 貴臣の存在抜きで、よく会っていた。</p>
<p>(それなのに・・・なぜ？)</p>
<p>「あなた、仲が悪いはずがないのに、なぜ？って思っているでしょ」</p>
<p>図星だった。</p>
<p>「あ、う、うん」 「あなたはノンキでいいわね」 「え？」 「嫁と姑だもの、何もないわけないじゃないの」</p>
<p>幸恵は、ちょっと張りつめた口調で言った。 貴臣は、一瞬、ビクッとして妻の目を見た。</p>
<p>「大丈夫よ、なにもケンカしてきたわけじゃないもの。 　ううん、一度もケンカしたことないわよ、お義母さんとは」 「・・・」 「でもね、それはね、お義母さんと私がね、お互いに努力してきたからなのよ」 「え？！　どういうことだい」 「やっぱりね・・・」</p>
<p>普段は見せない幸恵の厳しい瞳があった。</p>
<p>「そこがあなたのノンキなところなのよ」 「どういうことだよ！」</p>
<p>貴臣はちょっとムッとした。キッチンの片付けをしながら話をしていた幸恵は、 手を休めて、貴臣に向き合うようにしてテーブルに座った。</p>
<p>「いいわ、この際だから、きちんと言ってあげる」 「・・・なんだか怖いなぁ」</p>
<p>あまりの緊張感から、おどけて言うと、</p>
<p>「ふざけないで、真剣な話よ」 「う、うん。わかった」 「あのね、結婚したすぐの頃にね、お義母さんからこう言われたのよ。 　『貴臣は、ボーとしていて、人の気遣いができない子供なの』って」 「え！　なんだって」 「いいから、聴いて」 「う、うん」</p>
<p>幸恵は話を続けた。</p>
<p>「お義母さんが言うにはね、もし私とお義母さんが 　『嫁と姑』の問題でケンカをしたとしてもね、 　貴臣はまったく仲裁ができないし、それどころか、 　ひょっとすると気が付かないかもしれないって」 「なんだって！　オフクロがそんなことを言ったのか？　いつだよ」 「いいから聴いてよ・・・まだ話の続きがあるの」 「・・・」</p>
<p>貴臣にはまったく寝耳に水の話だった。</p>
<p>「だからね、お義母さんはね、あまりお互いの生活のことを干渉しないようにしましょうって 　提案されたのよ。もし何か意見が違うことがあってケンカをしてもね、 　貴臣はアテにならないから二人で解決しましょうってね」 「おいおい・・・」 「だからね、仲よくは無理でもね、できるだけ私とお義母さんは 　おしゃべりする機会を作るように努力してきたのよ・・・わかる？」</p>
<p>初耳だった。母親からもそんな話を聴いたことはなかった。</p>
<p>「てえことは・・・オレだけ除け者ってことか」 「う～ん、言い方は悪いけど、そういうことね。もっと聴きたい？」</p>
<p>貴臣は恐々答えた。</p>
<p>「どうせだから言えよ」</p>
<p>幸恵は淡々と話を続けた。</p>
<p>「これはね、私が言うんじゃないのよ、お義母さんが言うのよ。い～い」 「あ、ああ」 「あなたね、お父義さんとお義母さんの誕生日に何かプレゼントしたことある？」</p>
<p>貴臣はドキッとした。プレゼントをしたことはある。 しかし、それは、たしか小学生のときのことだ。 中学になっても、プレゼントしたかどうかまで覚えていない。</p>
<p>「父の日とか、母の日とかに、いつも私がプレゼントの手配をしているでしょ」 「う、うん、仕事が忙しくて、お前に任せきりで悪いとは思ったけど」 「じゃあさ、父の日や母の日に、私の両親に、何か買ってくれたことある？」</p>
<p>貴臣は、もう何も返事ができなかった。全部、妻に頼んでいたからだ。 もちろん、お金だけは出していたが・・・。</p>
<p>「お義母さんは言うのよ、今でもね。 　貴臣は自分のことしか見えない子だからごめんなさいって」</p>
<p>まるで糾弾されているようだった。 妻の口調が、厳しくないことが逆に辛かった。</p>
<p>「いいのよ、今さら責めているわけじゃないもの。 　でもね、そういう人の努力を知らないでいて、 　『一緒に暮らして欲しい』って言うのは都合が良過ぎるの。 　第一、お義母さんは同居を望んでないでしょ」 「う、うん」</p>
<p>幸恵は、席を立つと番茶を淹れた。貴臣の前にも湯呑を置く。 ほんの10秒ほどが、何十分にも思えた。沈黙の中、電話が鳴った。</p>
<p>トゥルルル、トゥルルル。</p>
<p>その場の空気から逃げるようにして受話器を取った。</p>
<p>「はい」 「ああ、貴臣だね」 「お母さん」 「ちょっと、幸恵さんと代わってくれない？」 「いいよ、ここにいるから」</p>
<p>貴臣は、電話を幸恵に代わった。</p>
<p>「こんばんは、お義母さん・・・は、はい。いいえ、いつもの気持ちです。 　はい、はい。いいえ、とんでもない。元気ですよ・・・はい。じゃあお休みなさい」</p>
<p>それだけ言うと受話器を置いた。</p>
<p>「何だって、オフクロ？」 「・・・」</p>
<p>またまた沈黙。貴臣は、小さな声で、もう一度訊いた。</p>
<p>「何か特別なことか？」 「仕方がないわね・・・いい機会だから、ちゃんと話してあげる。お義母さんから私にね、お礼の電話なのよ」 「お礼？」 「そうお礼。毎年ね、お義父さんにね、バレンタインデーの日にはチョコレートを贈っていたのよ。 　でも、亡くなったでしょ。だからね、仏壇にお供えしてもらおうと思って、今年もチョコレートを贈ったのよ。 　お義母さんがね、『お父義さん、天国できっと喜んでるわよ』って、そういうお礼の電話なの。わかった？」</p>
<p>そう言うと、幸恵はキッチンの棚から、一つの小さな包みを持って来て、貴臣の前にそっと差し出した。</p>
<p>「はい、あなた」</p>
<p>それは、神戸に本社がある洋菓子屋さんの包装紙だった。</p>
<p>「責めてるわけじゃないからね、わかって欲しいだけなの」 「食べてもいいかな」 「うん、コーヒー淹れましょうか」 「ああ、・・・いや、オレに淹れさせてくれ」 「じゃあ、お願いしようかな」 「一緒に食べてもいい？」 「も、もちろん」</p>
<p>コーヒー・カップの湯気の向こうに幸恵に言った。</p>
<p>「オヤジのこと、ありがとう」 「うん」 「それから・・・オフクロのこと、これからもよろしく」 「もちろん」</p>
<p>貴臣の口の中で、チョコレートがトロリと溶けた。 とても、苦くて、甘くて、切ない味がした。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>第494号　ちょっといい話『クレームとサンキュー』志賀内泰弘</title>
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		<pubDate>Fri, 03 Feb 2012 00:16:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[役に立ついい話]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/yakudachi/vol_0494.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
当メルマガや、月刊紙「プチ紳士からの手紙」では、 ときおり企業さんに届いたサンキュー・レターを紹介しています。
モスバーガー、ケンタッキー・フライドチキン、大丸、目黒雅叙園、 全日空、セブン・イレブン、ミスタードー [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>当メルマガや、月刊紙「プチ紳士からの手紙」では、 ときおり企業さんに届いたサンキュー・レターを紹介しています。</p>
<p>モスバーガー、ケンタッキー・フライドチキン、大丸、目黒雅叙園、 全日空、セブン・イレブン、ミスタードーナツ・・・。</p>
<p>けっして、その会社のPRをするのが目的ではありません。 そのサンキュー・レターの中に、心温まるドラマがあるからです。</p>
<p><span id="more-3261"></span></p>
<p>さて、よく、「クレームは宝」と言います。 耳障りではありますが、お客様から届いたクレームを謙虚に受け止め、 それを改善することで、より良いサービスを提供することに繋がります。</p>
<p>また、きちんとクレームに対応できれば、反対にお客様の信用を得ることも可能です。</p>
<p>これはもう、企業では当たり前のことになっています。 でも、私は、サンキュー・レターも、これに劣らぬ宝物だと思っています。</p>
<p>お客様の立場になって考えてみましょう。</p>
<p>お店に買い物に出掛けて、何か不愉快な思いをした。 その場では、我慢したけれど、どうにも腹が立っておさまらない。</p>
<p>家に帰って、本社のお客様相談室へ電話をして怒りをぶちまける。 これが多くの場合のクレームです。</p>
<p>もちろん、その場で「店長を呼べ！」と言い、訴える場合もあるでしょう。 これは、怒りや不満という「感情」によって怒る行動です。 だから、す早い。すぐに行動に移します。 だから、電話というケースが多いのです。</p>
<p>これに対して、サンキュー・レターは、手紙やメールが多い。 「お宅のお店で、こんなサービスをしてくれた。ありがとう」 と、わざわざ書いてくれる。</p>
<p>便箋やハガキに書き、わざわざ切手を貼り、ポストまで入れに行く。 そんな手間をかけても、何の得にもなりません。 クレームだと、損を取り返したいという気持ちがあります。</p>
<p>でもサンキューは、感謝の気持ちを相手に届けたいという、 ただそれだけ。その心を動かすのは、「感動」です。</p>
<p>企業にとっては、圧倒的にクレームの方が多い。間違いなく、サンキューの数は少ない。 よほど「感動」しないと手紙やメールを書いたりはしません。 それだけに、サンキューにも価値がある。</p>
<p>「どうしても、相手に伝えたい。ありがとうと言いたい」</p>
<p>という強い気持ちが反映されたものなのです。 つまり、クレームをするよりも、サンキューの気持ちを届ける方が、 ずっとエネルギーが必要とされるのです。</p>
<p>人は褒めると伸びます。 周りに褒められる人がいれば「私も頑張ろう」と思います。</p>
<p>「ああ、こうすればお客様に喜んでいただけるんだ」</p>
<p>と気付きます。</p>
<p>その観点から、社内でサンキュー・レターを公開する企業が増えています。 表彰制度を設けている会社もあります。</p>
<p>クレーム対応が大切なことは当たり前ですが、 もっともっとサンキューが注目されるといいなぁと思います。</p>
<p>今回は、ミスタードーナツ本社に届いた、 サンキューレター(メール)を一つ紹介させていただきます。</p>
<p>*　　　　*　　　　*　　　　*</p>
<p>イオン富士宮SCショップで、とても誠意ある親切な対応でしたので、 連絡させていただきます。</p>
<p>先日、エンゼルクリームを購入したところ、 中のクリームが入っていませんでした。</p>
<p>お店に電話させていただいたところ、 豊田様が対応してくださいました。</p>
<p>正直、私も「そのくらいのことで・・・」と電話するのも気が引けたのですが、 ジャスコに頻繁に行くので、その時に『交換して頂けたら』と思い 電話させていただきました。</p>
<p>その対応内容は、私が一日中仕事で家にいないため、 「近々店に伺います」というのに対し、 「いらっしゃる時間にご自宅に届けます」と夜7時過ぎにわざわざ届けてくださいました。</p>
<p>来る前にもお電話いただき、また、私の家が分かりにくく、 迷われて暗い中、徒歩で探してくださいました。</p>
<p>もちろん、お会いした時の対応も親切で、 本当に気持ちの良い誠意あるご対応でした。</p>
<p>我が家はミスタードーナツが大好きで、度々購入しているのですが、 ますます好きになりました。</p>
<p>届けていただいたドーナツも家族で美味しくいただきました。 あまりに対応が素晴らしかったので、 お礼が言いたくてこちらより連絡させていただきました。</p>
<p>これからも、また買わせていただきます！！ 豊田様、お忙しい中、届けていただき、 本当にありがとうございました。</p>
<p>*　　　　*　　　　*　　　　*</p>
<p>商品にミスがあったとき、お客様の家まで届けるお店がどのくらいあるでしょうか。 以前、ある書店チェーンで、何冊かの本とボールペンを買ったときのことです。</p>
<p>家に帰って、袋を開けると、ボールペンが入っていませんでした。 すぐに電話をして、確認してもらうと、レジにボールペンが残っていたことがわかりました。</p>
<p>「レジで預かっておきますから、いつでも取りに来てください」</p>
<p>と言われ、カチンときました。それ以後、その書店は利用しなくなりました。 そして、しばらくして閉店しました。</p>
<p>ちょっとイジワルですが、「ヤッパリなぁ」と思いました。 そんな記憶がよみがえり、当たり前のことのようですが、 イオン富士宮SCショップの対応が眩しく感じられました。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>いい話のTV。「たった一行の幸せ」志内泰弘《第三十一話》</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/tv/tv_0031.html</link>
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		<pubDate>Wed, 01 Feb 2012 23:19:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[いい話のTV。]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/tv/tv_0031.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<iframe width="480" height="360" src="http://www.youtube.com/embed/tg6HuzM_t4g" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第493号　★いい言葉で賞★ 『風邪、ひかんときや（第二回受賞作品）』</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0493.html</link>
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		<pubDate>Wed, 01 Feb 2012 00:05:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[「たった一言で」コンテスト]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0493.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
大阪府茨木市 ペンネーム：あんこ
＜心に響いた「たった一言」＞ 風邪、ひかんときや
＜「たった一言エピソード」＞ 大学卒業して初めて赴任した高校は、 クラスの中に暴走族が半分いるような学校だった。
放課後は、毎 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>大阪府茨木市 ペンネーム：あんこ</p>
<p>＜心に響いた「たった一言」＞ 風邪、ひかんときや</p>
<p>＜「たった一言エピソード」＞ 大学卒業して初めて赴任した高校は、 クラスの中に暴走族が半分いるような学校だった。</p>
<p>放課後は、毎日毎日、家庭訪問。</p>
<p>ほとんどがグループで無期停学になるので、 一日数件、自転車でまわることになる。</p>
<p><span id="more-3256"></span></p>
<p>アップダウンのきつい地域の時は若くてもけっこう辛く、 風の強い日も、雨の激しい日も、とにかく顔を見に行くのだった。</p>
<p>停学が終わっても何事もなかったかのように、 またもとの日常を繰り返す生徒たち。</p>
<p>そして、当たり前のように家庭訪問を繰り返す私。 学校では悪態三昧の生徒たち。</p>
<p>ある梅雨の日、自転車を漕いで3軒目の家に行き、 生徒と少し話をし帰るとき、その生徒が初めて玄関先まで出て来た。</p>
<p>おや、と思っていると、ドアを閉めながら、ぼそっと、</p>
<p>「風邪、ひかんときや」</p>
<p>と。</p>
<p>わが耳を疑うとはこういうことか。 それ以降、私に悪態をつくことはなくなった。</p>
<p>しかし、やがて無期停学ではすまない立場を作ってしまい学校を去ることに。 今でも彼が住んでいる町を電車が停まるとき、会わないかと探してしまう。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>第492号　ココロのメルマガ小説『バレンタインの一日』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0492.html</link>
		<comments>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0492.html#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 30 Jan 2012 23:53:46 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[ココロのメルマガ小説]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0492.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
2月14日。 バレンタイン・デーの朝。
大島圭吾は、いつものように出社した。 「いつものように」とはいうものの、ちょっとだけ気が高揚する。
(ひょっとして、ひょっとして)
誰か自分のことを気にかけてくれる女子社 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>2月14日。 バレンタイン・デーの朝。</p>
<p>大島圭吾は、いつものように出社した。 「いつものように」とはいうものの、ちょっとだけ気が高揚する。</p>
<p>(ひょっとして、ひょっとして)</p>
<p>誰か自分のことを気にかけてくれる女子社員が、 チョコレートをくれるんじゃないかと期待してしまうのだ。</p>
<p><span id="more-3252"></span></p>
<p>もちろん、そんなことは、ただの「期待」というより「妄想」に過ぎなかった。 中学・高校・大学・・・と、「期待」と「失望」を繰り返してきた。</p>
<p>自分の席に着き、パソコンの電源を入れる。</p>
<p>「あーあー」</p>
<p>圭吾は、喉に手を当てた。どうも夕べ、深夜までビデオを見ていて、 夜更かししたのがいけなかったようだ。湯冷めしたのかもしれない。 もう一度、</p>
<p>「あーあー」</p>
<p>と声を出してみる。声が少しかれている。</p>
<p>「エヘン、エヘン・・・あーあー」</p>
<p>かすれる声を絞りながら、コーヒーサーバーからお茶を入れる。 一口すすると、再び、</p>
<p>「あーあー」</p>
<p>そんな様子を見ていた部長が声をかけてきた。</p>
<p>「なんだ、大島。風邪でもひいたのか？」 「いや、そんな大ごとじゃないんですが、喉がいがらっぽくて・・・」 「お前、今日はバレンタインだぞ。彼女とデートしなくちゃいかんだろ」 「課長、知ってるくせに。そんなにモテるわけないでしょ」 「ハハハハッ！　一人淋しいバレンタインか。残業なら付き合うゾ」</p>
<p>圭吾は、半分冗談で答えた。</p>
<p>「じゃあ、朝まで付き合ってください」</p>
<p>そう言い返しつつ、圭吾は同じ部の新人・谷口奈菜の笑顔を思い浮かべていた。</p>
<p>一か月ほど前のことだ。 会議の資料作りに手間取り、二時過ぎにランチに出掛けた。 ササッとサンドイッチで済まそうと思って入った会社のすぐ近くのスタバ。</p>
<p>席に座ると、隣のテーブルに谷口奈菜がいた。同じ部とはいえ、課が異なることもあり、 「おはよう」の挨拶程度しかしたことがない。でも、ちょっとカワイイので気になっていた。</p>
<p>圭吾は、</p>
<p>「よかったら、一緒に食べる？」</p>
<p>と訊いた。そんなことを気軽に口にした自分に驚いた。 今までの人生で、この一言がいつも言えたなら、違う人生があったろうにとつくづく思うのだった。 すると、いとも簡単に、</p>
<p>「はい」</p>
<p>と言い、バッグとカーデガンを持って、圭吾のテーブルに移動してきたではないか。 またまた圭吾は驚いた。</p>
<p>(ひょっとして・・・俺に気があるとか)</p>
<p>いやいや、そんなはずはない。そんなことを期待しちゃ、後でガッカリするだけだ。 圭吾はそう言い聞かせた。しかし、思うよりも会話は弾んだ。今、聞いている韓流ポップのこと。 大学時代のサークルのこと。最近見つけたおいしいレストラン。コンビニの新商品。 相手は5つ年下だが、以外にも話が合った。</p>
<p>急いで食事をしようと思っていたのに、 1時間もゆっくりしてしまった。</p>
<p>「いかん、この後、会議なんだ」 「あ、ホント、私も今日中にやらなきゃいけない仕事があるの」</p>
<p>と言い、慌てて店を出た。 普通の男なら、この後、デートにでも誘うのだろう。</p>
<p>「今日、お茶しない？」</p>
<p>圭吾は、その一言が言えないまま、一日、二日が過ぎ、 やがて何事もなかったかのように風化してしまった。</p>
<p>朝礼が始まる直前、圭吾のいる販促部の女子社員が揃って部屋に入ってきた。 ぞろぞろと、7人全員揃って。先頭にいるのは、お局様・・・と言うと叱られるが、 一番年齢の上の村瀬法子。一番後ろには、谷口奈菜がいた。</p>
<p>販促部では、バレンタインの恒例になっている。</p>
<p>「皆さん、日頃はたいへんお世話になっています。 　今年も、私たち女子から感謝の気持ちをこめて、 　男子諸君にチョコレートをプレゼントさせていただきます」</p>
<p>そう村瀬が言うと、「おおっ」という声が上がる。女子社員が男性たちにチョコを配り始めた。 しかし、ちょっと様子がおかしい。そのチョコはあまりにも小さかった。 キャンディ一粒の小袋の大きさだ。</p>
<p>「おいおい、毎年嬉しいけどさ、なんだか今年のは小さ過ぎないか？」</p>
<p>部長が声を上げた。</p>
<p>「あ、わかりましたか、部長」 「もらっておいて悪いが、幼稚園児じゃあるまいし」 「はい」 「ホワイトデーにはさ、豪勢なお返しをしてるじゃないか。倍返しどころか、5倍返しで」</p>
<p>村瀬法子がこれに答えた。</p>
<p>「あのですね、部長。今年はですね、ちょっと考えたんです。 　僅かばかりですけど、チョコをケチって、その分を震災の被災者に寄付しようって」 「ほほう、そういうことか」 「それでですね。ホワイトデーに、けっこう高いお菓子を 　皆さんでプレゼントして下さるでしょ。 　それも止めてしまって、ホワイトデー募金にしたらどうでしょうか。 　今回の余ったお金と一緒に、私がまとめさせていただきます」 「いいアイデアだね。義理チョコ、義理ホワイトデーだ。 　そんな義理でも、世の中のために立つんなら・・・」</p>
<p>男性社員で異論を唱える者は一人もいなかった。 村瀬が言う。</p>
<p>「これ、新人の奈菜のアイデアなんです。彼女、友達が仙台にいるらしくて・・・。」</p>
<p>いいことだと思ったが、ちょっとだけガッカリしていた圭吾も、 そう聞いて何だか嬉しくなった。</p>
<p>圭吾は、朝礼が終わってカバンに書類を詰め込んだ。 これから、取引先との打ち合わせがある。</p>
<p>「エヘン、エヘン」</p>
<p>さっきよりも、喉の調子が悪い。 冷めたコーヒーの残りで、行儀悪くガラガラッとうがいをした。</p>
<p>そこへ、隣の課から回覧を届けに来た谷口奈菜が、</p>
<p>「大島さん、これ舐めてください」</p>
<p>と言い、差し出す。 圭吾は、無意識に手を差し出した。それは、紙包みのキャンディーだった。 最近はあまり見かけない。</p>
<p>コンビニでアメを買うと、大袋の中には一つずつビニールに個別包装されたアメが入っている。 奈菜か差し出したのは、駄菓子屋さんで一粒ずつ買ってきたようなアメだった。 イチゴ色の水玉模様一枚の紙の真ん中にアメを置き、クルクルッと両端がよじってある。</p>
<p>「ありがとう」</p>
<p>この前のことがあったので、圭吾は少し緊張して受け取った。</p>
<p>「行ってきます」 「行ってらっしゃい」</p>
<p>アメをポケットに入れてトイレに行く。 そこには2年後輩の優太がいた。 さかんに咳をしている。</p>
<p>「どうした、風邪かよ」 「うがいしに来たんですけど、喉をやられちゃって・・・」 「なんだよ。ガラガラじゃないか」 「これからプレゼンなんです。参りました」</p>
<p>圭吾は、無意識にポケットのアメを取り出していた。</p>
<p>「おい、これ舐めとけ」 「え？！　あ、ありがとうございます」</p>
<p>圭吾は少しだけ後悔した。たった一粒のアメとはいえ、 ほのかに想いを寄せている奈菜がくれたものだ。</p>
<p>でも、優太は自分よりも喉の調子が悪い様子。 このアメも役に立てば、奈菜も喜んでくれるに違いない。 もっとも、そんなことは、奈菜の知らぬところではあるが・・・。</p>
<p>その日は、忙しかった。 圭吾は取引先3か所を回り、クタクタになって戻ってきた。 だんだんと喉の具合が悪くなってきた。</p>
<p>途中のコンビニで、ハーブの入った喉アメを買った。 それに、ミネラルウォーターも買い、常に喉を湿らせていた。 よろよろっ、と会社に戻って席に着く。</p>
<p>一つ、溜息。</p>
<p>「ああ、疲れた」</p>
<p>そこへ、優太がやってきた。</p>
<p>「先輩」 「おお、プレゼンはどうだった？」 「どうだったじゃないですよ」 「どうしたんだ？上手くいかなかったのか」</p>
<p>優太は、何だか怒っている。</p>
<p>「プレゼンはバッチシです。喉はガラガラですけどね」 「なら、いいじゃないか」 「そうじゃないです、コレ！」</p>
<p>そう言って優太が差し出したのは、 出掛ける前に圭吾がやったキャンディーだった。</p>
<p>「なんだよ、オレがせっかくやったのに、舐めなかったのかよ」 「こんなの舐められませよ」 「何言ってんだよ、せっかくお前のためにと思って」</p>
<p>そこまで言ったとき、優太はキャンディーを圭吾の手に押し付けて行ってしまった。</p>
<p>「・・・変なヤツ」</p>
<p>手のひらのキャンディーを、圭吾は両手でルクルクッとむく。 ピンクのアメが出てきた。それを口に中に放り込もうとして、気づいた。 何やら、細かい文字の書いた紙切れが入っていた。</p>
<p>「え？！」</p>
<p>イチゴ色の包装の内側に、もう一枚の紙切れ。 それを取り出す。</p>
<p>&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212; <br />もしよかったら、仕事がおわった後、<br />スタバで待ってますね</p>
<p>奈菜 <br />&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;</p>
<p>慌てて、机の下に隠した。 振り返ると、優太が、口にチャックをする仕草をして笑っていた。</p>
<p>《終わり》</p>
]]></content:encoded>
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		<title>第491号　ちょっといい話『きっと、上手くゆく！』志賀内泰弘</title>
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		<pubDate>Fri, 27 Jan 2012 00:51:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[うれしくなるいい話]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/uresii/vol_0491.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
今から、３０年前のことです。 大学四年生で就職活動をしていました。
当時は、就職協定というものがかなり厳格で、 ４年生の１１月にならないと 正式に採用通知がもらえませんでした。
それでも、８月くらいになると、優秀 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>今から、３０年前のことです。 大学四年生で就職活動をしていました。</p>
<p>当時は、就職協定というものがかなり厳格で、 ４年生の１１月にならないと 正式に採用通知がもらえませんでした。</p>
<p>それでも、８月くらいになると、優秀な学生は 「内定」「内々定」が出始めました。 とても焦って、辛かったことを思い出します。</p>
<p>そんな昔のことを思い出したのは、 愛知県名古屋市の「りょー」さんから、こんなお話が届いたからです。</p>
<p><span id="more-3250"></span></p>
<p>*　　　　*　　　　*　　　　*</p>
<p>私は今大学四年生で、就職活動を行い、 面接や説明会に積極的に参加しています。</p>
<p>会場はそれぞれの会社で異なり、県内、さらには県外にもなると、 お金もかかるし、とても疲れます。</p>
<p>その上、結果もなかなか出ないのでやる気もだんだん無くなりました。 結果が出なかった会社なんか受けなければよかった、 ましてや、電車賃をかけてまで、 その会場まで行かなければよかったとすら思うようになっていきました。</p>
<p>そんな中、最近少しではありますが、 ゴミ拾いをするようになりました。</p>
<p>最初は家の回りを歩いてるときに拾うくらいでしたが、 ゴミ拾いの楽しさ、やりがいに気付き始めたとたん、 就職活動で行く先々でもゴミを拾うようになりました。</p>
<p>私は気づきました。</p>
<p>私が就職活動で行った先は、 ほんの少しではあるが、綺麗になったのです。 私が行ったからこそ綺麗になったのです。</p>
<p>それに気づいた瞬間、私の就職活動が少し誇らしくなりました。</p>
<p>*　　　　*　　　　*　　　　*</p>
<p>「陰徳」という言葉があります。 誰も見ていないところで、人のために役立つことをする。 なかなかできないことです。</p>
<p>「受からなければ、仕方がないじゃないか」</p>
<p>という意見もあるでしょう。 でも、私は信じたいです。</p>
<p>きっと、「りょー」さんのことを見ている人がいる。 いや、必ず、彼の魅力を見抜く人がいると。</p>
<p>きっと、上手くいきますよ！ 採用通知が届くこと、 心よりお祈りしています。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>いい話のTV。「チンチン電車の車掌さんの一言」志内泰弘《第三〇話》</title>
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		<pubDate>Thu, 26 Jan 2012 00:39:36 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[いい話のTV。]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/tv/tv_0030.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<iframe width="480" height="360" src="http://www.youtube.com/embed/fi-X3yjdN94?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>第490号　★こころにビタミン賞★『顔くらいは洗わせてあげて下さい（第二回受賞作品）』</title>
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		<pubDate>Tue, 24 Jan 2012 23:42:56 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[「たった一言で」コンテスト]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/hitokoto/vol_0490.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
東京都世田谷区 ペンネーム：ハルト
＜心に響いた「たった一言」＞ 「顔くらいは洗わせてあげて下さい」
＜「たった一言エピソード」＞ 私の五歳離れた兄は喧嘩、酒の失敗、女性問題、 悪い話題には事欠かない兄でした。 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>東京都世田谷区 ペンネーム：ハルト</p>
<p>＜心に響いた「たった一言」＞ 「顔くらいは洗わせてあげて下さい」</p>
<p>＜「たった一言エピソード」＞ 私の五歳離れた兄は喧嘩、酒の失敗、女性問題、 悪い話題には事欠かない兄でした。</p>
<p>ただ弟の私には昔から優しくスポーツ万能で成績も良く、 これといった特長の無い泣き虫の私には 永遠のヒーローでもありました。</p>
<p><span id="more-3245"></span></p>
<p>そんなヒーローが２０代のある日、 当時一人暮らしをしていた地区の警察から実家に突然連絡が入ったのです。</p>
<p>電話を取った母は受話器に何度も謝りながら電話を切った後、 私に事情を説明しました。</p>
<p>「お兄ちゃんが無免許運転で逮捕されて警察に来て下さいって。 　場所が分からへんから一緒に連れて行ってくれるか」</p>
<p>と力無い声で呟きました。</p>
<p>母と二人、無言で二時間電車を乗り継ぎ警察に着くと、 その日はそのまま留置され翌日簡易裁判のあと出られるとの事でした。</p>
<p>家を出る前にごそごそと何かをしていた母はその日に出られないことを知ると、 帰り際警察官に、</p>
<p>「タオル渡して下さい」</p>
<p>とタオルを差し出しました。</p>
<p>一瞬警察官が悩んだ顔をしたのは 規則ではだめだったのかも知れません。</p>
<p>母は続けて、</p>
<p>「顔くらいは洗わせてあげて下さい」</p>
<p>と深く頭を下げました。 新品と思われる真っ白なタオルを差し出しながら また深く頭を下げていました。</p>
<p>３０年も前の話です。</p>
<p>母には少し痴呆の兆候が見え始め、 現在介護の仕事に就いている兄が食事を作り、 身の回りの世話をしてくれています。</p>
<p>優しい優しいヒーローなのです。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第489号　ココロのメルマガ小説『何かの間違い』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0489.html</link>
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		<pubDate>Mon, 23 Jan 2012 23:21:48 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[ココロのメルマガ小説]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0489.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
斉藤朱音(あかね)は、大手食品メーカーに勤めている。社会人1年目。 大学時代のサークル仲間4人で、久しぶりに女子会を開いたとき、 一番仲の良いアサコから聞かれた。
「ねえねえ、役員秘書ってどうなのよ？」
そう、朱 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>斉藤朱音(あかね)は、大手食品メーカーに勤めている。社会人1年目。 大学時代のサークル仲間4人で、久しぶりに女子会を開いたとき、 一番仲の良いアサコから聞かれた。</p>
<p>「ねえねえ、役員秘書ってどうなのよ？」</p>
<p>そう、朱音は、役員室の秘書室で働いている。別に、自分で希望したわけではない。</p>
<p><span id="more-3241"></span>大学で秘書業務の講義単位を取ったことはなく、もちろん秘書検定の資格も持っていない。 四月に配属されて、当の本人がびっくりしたのだった。</p>
<p>「わからないことばっかりで、大変よ」 「そりゃそうよね」</p>
<p>その言葉には、嫉妬というかやっかみが含まれていることがわかった。 アサコは、成績抜群、容姿端麗。アナウンサーになりたくて、マスコミ研究会に入っていた。 周りの誰もが「女子アナ」になるのだと思っていた。</p>
<p>しかし、世の中はそんなに甘くはなかった。 関東キー局のテレビ局はもちろん、地方局もすべて落ちた。 今は、親のコネで、小さな雑誌社に勤めている。</p>
<p>それに比べて、朱音は自分が何の取り柄もないことを知っていた。 大学こそは同じだが、単位はギリギリ。ちょっと太目で背も低い。スポーツ音痴で、芸術もさっぱり。 大学時代に、一度も男の子と付き合ったことがなかった。</p>
<p>本当はもっと勉強がしたかったが、朱音が2年生のときに父親が急死した。 大学をやめることも考えたが、社会人になっていた5つ上の兄貴が学費の一部を援助してくれた。 それでも足りないので、ずっとバイトに明け暮れていたのだ。</p>
<p>それなのに・・・。</p>
<p>なぜか、誰もが知る食品メーカーに合格してしまったのだ。</p>
<p>「私が聞きたいくらいよ」</p>
<p>それが本音だった。</p>
<p>「そうよねー」 「うんうん」</p>
<p>と、ワイングラスを手に3人が頷いた。朱音は、ちょっとだけムッとしたが、 本当のことなので仕方がない。苦笑いして頭をかいた。</p>
<p>「本当に、社長のコネとかじゃないの？」 「ううん、ぜんぜん」 「何かの間違いじゃないの？」 「そうかもね」</p>
<p>間違いでもいい。朱音は今、仕事が面白くてたまらなかった。 採用してくれた会社に心から感謝していた。</p>
<p>それから10日ほど経った、ある晩のこと。 会社の同期の仲間15、6人で、会社の近くの居酒屋で飲み会をした。 同期全員に声をかけたが、仕事の都合で半分ほどの人数しか集まらなかった。</p>
<p>同期とはいえ、配属先はバラバラだ。入社1年しか経っていないのに、 おのおの愚痴ばかりが先行する。朱音は、勉強することがいっぱいあり過ぎて、 不満を抱く余裕すらなかった。ただ、ただ、みんなの話を聞いていた。</p>
<p>トイレに席を立ち、用を足してドアを開けたところで、人とぶつかった。</p>
<p>「あっ、ごめんなさい」 「いや、こっちこそ」</p>
<p>相手は大柄な男性だった。朱音は、反動で一歩後ろに弾かれた。</p>
<p>「む？　斉藤さんじゃないか」 「あっ！」</p>
<p>朱音は、次の言葉を失った。人事部長の大熊だった。</p>
<p>「なんだ、会社のみんなで来てるのかい？」 「あ、はい。同期会なんです」 「いいねぇ、同期は仲よくするといいよ。お互いにいろいろ相談しやすいしね。 　これから、40年近く同じ仕事をするんだから」</p>
<p>大熊の顔は真っ赤だった。相当出来上がっている感じ。 何を思ったか、朱音はこんなことを口にしていた。</p>
<p>「あの～一つ伺いたいことがあるんです」 「え？　なんだい」 「わたし・・・どうしてこの会社に入れたんでしょうか」</p>
<p>そう言いつつ、ハッとした。朱音は自分も酔いが回っているんじゃないかと思った。 いつもなら、こんな不躾な質問などしない。でも、もう口から出てしまっていた。</p>
<p>「どうしてって・・・採用試験に合格したからじゃないか」 「だって、成績は悪いし、何の取り柄もないし・・・それに、見てくれも・・・」</p>
<p>それを聞いた大熊の紅ら顔が、少し覚めたように見えた。</p>
<p>「ちゃんと採用基準に基づいて採用されたんだから、 　今になってそんなこと考えなくてもいいじゃないか。自信を持っていいよ」 「・・・」</p>
<p>朱音は、真顔で大熊を見つめ返した。その表情が真剣だったからか、大熊は、</p>
<p>「会社の誰かに何か言われたのかい？」</p>
<p>と尋ねた。</p>
<p>「いいえ・・・はい・・・大学の友達に・・・」 「ちょっと、こっちへ来なさい」</p>
<p>大熊は、すぐ近くの空いていたテーブル席へ朱音を促した。 大熊には朱音の視線が、珍しく鋭く感じられた。</p>
<p>「あのね」 「はい」</p>
<p>大熊はあぐらをかいて座った。朱音は、正座して向き合っている。</p>
<p>「絶対に他言は無用だ、いいかい」</p>
<p>「絶対に他言は無用だ、いいかい」 「え？」 「誰にも喋っちゃいけない。トップシークレットだからね」 「あ、はい」</p>
<p>朱音は、大熊が何を言い出そうとしているのか想像がつかなかった。 しかし、自分が聞いてはならないことを聞いてしまったのだと、反省していた。</p>
<p>「斉藤さんはね、特別枠なんだよ」 「特別・・・枠？」 「うん、社長がね、特別に推薦して採用する枠だ」 「そんなの変です。だって、私、コネもないし、社長さんのことも知らないし」 「でもね、田中社長は、少なからず君のことを知っているようだよ」 「まさか」</p>
<p>うちの会社はね、去年から「特別枠採用制度」というのを設けたんだ。 面接の日にね、お弁当をみんなで一緒に食べたろう。 そのときの「素行」が採用基準になってるんだ。</p>
<p>「どういうことですか？」 「これはさ、他で喋ってもらうと今年から困ってしまうんで内緒にしてくれよ」 「は、はい」 「一つは、食べる前に「いただきます」と「ごちそうさまでした」を言うか言わないか。 　いま一つは、箸を正しく持てるかどうか。それだけできれば、合格。 　成績やその他の能力は度外視」 「そんなあ～、誰だってできるでしょ」 「ところが、ほとんどできない」 「それが私だったってことですか？」 「うん」 「嬉しいっていうより、ちょっとショックです」 「なぜ？」 「だって、成績やその他の能力は度外視だって。 　私、秘書課に配属になって、毎日付いて行くのが大変なんです。 　いくら勉強してもミスばかりで・・・」</p>
<p>大熊は、少し考えあぐねていた。言おうか言わまいかと。</p>
<p>「あのさ・・・斉藤さん。絶対内緒だよ」 「・・・はい」</p>
<p>話にはまだ続きがあるようだった。</p>
<p>「君さ、覚えてるかな」 「何をですか？」 「最終の役員面接のときにさ、控室を出たところのドアの前に落ちていた紙屑を拾ったろう」</p>
<p>朱音は首を傾げた。思い起こすが記憶にない。</p>
<p>「覚えてないのかい」 「はい」 「あの時さ、ドアの前に落ちていた紙屑をサッと拾ってさ、山田君に差し出したそうだね」</p>
<p>山田とは、人事部の若手男性社員だ。面接室まで案内する係である。</p>
<p>「山田君から聞いているんだ」 「どういうことですか？」 「う、うん、それが君の最大の採用ポイントになったんだからね」 「え？！」</p>
<p>朱音は、何が何だか訳がわからなくなった。 大熊は、少しだけ酔いが覚めて来た様子で、はっきりとした口調で話し始めた。</p>
<p>「実はね、食事のときの素行だけでは選考できなくなってしまったんだよ」 「なぜですか？」 「君のせいだよ」 「・・・」 「君がさ、大声で、『いただきま～す』なんて言うからさ、 　全員がつられて一斉に『いただきます』って言うんだもの・・・。 　こっちの企みというかヨミは大外れさ」 「・・・」 「それでね、社長がさ、急遽もう一つ課題を出したんだよ。 　控室を一歩出たところに、紙屑を置いておく。誰かが落としたんじゃない。 　我々が置いておいたんだ。それに気付いて拾い、 　すぐ近くに設置してあるゴミ箱に捨てるかどうか。拾えばマル。そのままならバツ」 「そんなぁ～」 「ところがさ、君は我々の目論見の上をいったんだ。 　山田君が『そこのゴミ箱へ捨てておいてください』って君に言うと、君は、 　『ひょっとして大切なものだといけないので、受け取っていただけませんか』 　って言ったそうだね」 「そうでしたっけ」 「おいおい、そりゃないよ」 「ちょっと思い出したかも」</p>
<p>朱音は思い出した。それは、くしゃくしゃと丸まったコピー用紙だった。 何かそこにはワープロで文字が打ってあった。</p>
<p>その時、ふと頭に浮かんだのは、ある一流ホテルの清掃係の人の話だ。 お客様の部屋を掃除するとき、もし床にくしゃくしゃに丸まった紙切れが落ちていても、 けっしてゴミ扱いはしない。ひょっとして、たまたまゴミに見えるだけかもしれない。</p>
<p>そっと、机の上に置いておくか、既にお客様がチェックアウトされていたら、 何日か保管しておくというのだ。朱音は無意識にそのマネをしていただけだった。</p>
<p>「社内にゴミなんて、落ちていてもほとんど誰も拾わない。 　うちは食品メーカーだからね。清潔であることが重要だ。 　人事としてはあまりこのことは威張れないけどね。 　だから、ゴミに気付いて拾うだけでも素晴らしい・・・と社長が言うんだ。 　あくまで、社長がね。しかし、君は、その上をいった」</p>
<p>その時だった。</p>
<p>「おい、大熊、何やってんだよ！」</p>
<p>振り向くと、秘書室長の佐藤がいた。朱音の上司だ。</p>
<p>「おい、大熊、オレの可愛い部下に何、説教してんだよ。 　それも、こんなところでコソコソと。おおっ、セクハラか？」</p>
<p>佐藤も相当に出来上がっている様子だった。</p>
<p>「バカヤロー、そんなんじゃない。・・・でも、可愛いやつなんだよ、コイツはな」 「おお、それは認める」 「おお、だから秘書室に配属してやったんだ。感謝しろ」</p>
<p>酔っ払い二人のオジサンに挟まれて、朱音は目頭が熱くなった。佐藤が言う。</p>
<p>「ああ、お前泣かしたな～」 「泣かしたのはお前だろう」</p>
<p>朱音は、明日から、もっともっと頑張ろうと思った。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>第488号　ちょっといい話『お巡りさんの拍手』志賀内泰弘</title>
		<link>http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kandou/vol_0488.html</link>
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		<pubDate>Fri, 20 Jan 2012 01:26:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kojima</dc:creator>
				<category><![CDATA[感動するいい話]]></category>
		<category><![CDATA[451話～500話]]></category>

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		<description><![CDATA[<a href="http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kandou/vol_0488.html"><img align="left" hspace="5" width="100" height="100" src="http://www.giveandgive.com/wp-content/plugins/thumbnail-for-excerpts/tfe_no_thumb.png" class="alignleft wp-post-image tfe" alt="" title="" /></a>
今日は、福井県のダスキン武生支店・梶山謹司さんからのお便りを 紹介させていただきます。この会社では、社員さんに３分間スピーチを 披露してもらっています。
その中から、こんなお話を・・・。
*　　　*　　　*　　　 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[
<p>今日は、福井県のダスキン武生支店・梶山謹司さんからのお便りを 紹介させていただきます。この会社では、社員さんに３分間スピーチを 披露してもらっています。</p>
<p>その中から、こんなお話を・・・。</p>
<p>*　　　*　　　*　　　*</p>
<p>本日の３分間スピーチで、 入社二年目の前田一平君の発表の内容です。</p>
<p>彼は、我社へ入社前、９年間プロとして東京で音楽活動をしていました。 あのエイベックスに所属し、「ザ・ルーズドックス」と言う名前のバンドで、 十数枚のＣＤを発売して頑張っていました。</p>
<p><span id="more-3239"></span></p>
<p>あのＮＨＫのアニメ「メジャー」 の主題歌も彼達だったのです。</p>
<p>３分間の内容は、その彼達が高校時代（福井高専）に毎週金曜日、 決まって二年間福井駅のガード下で路上ライブをしていたそうです。</p>
<p>すると近くのポリＢＯＸのお巡りさんが来て、 音が大きいとか、人が多く集まり過ぎているから 通行の邪魔になるとか、しょっちゅう叱られたそうです。</p>
<p>それでも、二年間継続して同じ場所で路上ライブ活動を続けてスカウトされ、 東京に行くことになり、最後の路上ライブの時、 何と３００人以上が集まってくれたそうです。</p>
<p>彼は、</p>
<p>「最後の曲を歌い終わりふと、後ろの方に目が行くといつものお巡りさんが、 　笑いながら拍手をしてくれました」 「そのおまわりさんを見た瞬間、涙か止まらなかったです」</p>
<p>と３分間を締めくくりました。</p>
<p>彼は、とにかく歌うことが好きで、 今でもお客様にお願いされ幼稚園、老人ホームで歌っています。</p>
]]></content:encoded>
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